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ジェロニモ

フォレスト カーター
めるくまーる
ISBN: 4839700869  紀伊國屋, Amazon, WebCat
カテゴリ 人物を楽しむ ネイティブ アメリカン
評  価 A
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teltel : メキシコと合州国に対して自由と自立のために40 年ものあいだ立ち向かい続けた、最後のアパッチ戦士ジェロニモの物語。1829 に産まれて1909 に死ぬ。1886 に最後の投降をするまでは戦い続け、投降後は居住区で暮らす。戦いに明け暮れていたにもかかわらず、そこらのネイティブに比べればずっと長生きだ。地理と心理を巧みに用いた狡猾な戦術家で、装備と人員で勝る敵に何度も打ち勝っている。ちなみにジェロニモ(Geronimo)は、聖ヒエロニムスの英語読みと説明されている。

合衆国成立の過程で、西海岸と中部アメリカに支配が及ぶときに、別の文化を持ったネイティブと衝突する。常にそうであるように西欧人は圧倒的な武力と文明の力をもち、独善的な倫理で支配を進める。その結果、争いが生じ血が流れネイティブに怒りが産まれる。ジェロニモはその最後の体現だ。最終的に降伏したとはいえ、それは選択のうちの降伏であり、結局のところネイティブの魂が負けた訳ではないと結ばれており、最後まで誇り高く戦いぬいた稀有な人である。グローバル化とか言われ、世界が平坦になっている今では、こうは生きられない。結局のところ、合衆国というのは変わっていない。底流に西欧の文明の血を引いており、独善的でキリスト以外の世界が人間世界とは認められていないのだな、とイラク戦などから解る。

「最後の木が切られちまったら…最後のバッファローが死んじまったら…最後の金塊が掘り出され、最後のインディアンが殺されちまったら…それから先、あんたらは何をするつもりなんだ? きりのない欲でもって何をするつもりなんだ? 子どもたちにあんたらを見習わせるのかね? それからどうする? 最後には何も残らなくなっちまうぜ…あんたら自身のほかにはな」

フォレスト カーター の小説だが、リトル・トリー とは対照的に怒りと血と死にまみれた物語になっている。カーターは4 篇の小説しか残しておらず、どれも傑作とくればこれまたすごい人である。

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最終更新 : 2004-09-18 13:51:54 +0900
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