コメント: |
菊地成孔は、ジャズミュージシャンでかつ思想哲学方面に詳しく、音楽理論と流行風俗を交えて書けるという稀有な人。この本は、カバーが面白い折り方をしていて、上下にオビが入っているように見える。
私には絶対にまねできない饒舌な文章(括弧書きと(笑)が多すぎる(笑))。ポストモダン思想系の単語も出てくるのだけど、思想系日記書きにいがちなわけわかめな文章とは一線を画している。それは、自分の専門分野である音楽で、たたき上げのきっちりした技術と理論を持っているからではないかと推測する。
「それっぽい作り話」が好きな人だなぁというのも分かったが、(思想にも音楽にも明るくない)私としては一番面白かったのは自分でも聞いたことのある(小沢健二、宇多田ヒカル、平井堅とかの)ミュージシャン分析だった。こういう、ちゃんとした音楽技術や知識があって、かつポップ・ミュージックの流れとかミュージシャンのキャラクター、サブカルチャー、メディアの流通させる若者一般の理想像を押さえて書ける人は貴重だろう。哲学・精神分析方面については判断不能だけど。
そのあたりは、bounce.comの連載(<a href="http://www.bounce.com/articleset/articleset.php/135">http://www.bounce.com/articleset/articleset.php/135</a>)を見てもわかる。これを面白がれる人にはお勧め。 |