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恐るべき旅路 ―火星探査機「のぞみ」のたどった12年―
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著者: |
松浦 晋也 |
出版社: |
朝日ソノラマ |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
Science
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コメント: |
副題には「のぞみのたどった12年」と書いてあるけど、その胎動は1970年から始まっており、前半部は打ち上げまでの紆余曲折が書かれている。のぞみ失敗の萌芽はすべてここに凝縮されており、要約すると「みんなビンボが悪いんや」ということになる。しかしながら、貧乏を知恵で克服する過程は実にスリリングで、読んでいると技術者魂に火がついてしまう。
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あと、前半の山場である「あなたの名前を火星へキャンペーン」で、最初は不満タラタラだった関係者が、ハガキに書かれたメッセージを読んで次第にモチベーションを高められていくシーンもいい。日本の宇宙開発における的川さんの存在が、いかに重要かがわかるエピソード。ほんと、あの人がいなくなったらどうするんだろう。
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しかし、その盛り上がりも、打ち上げ後に次々と襲いかかるトラブルへの対処に比べたらものの比ではない。まったく、地味〜な軌道計算が、こんなにカッコよく描かれていいのか! 地味が得意(?)な谷甲州でも、こんな描写は書けまい、というくらいカッコいい。これを学生に読ませたら、軌道計算屋志望者が街にあふれるよ!
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もちろんその後の、かの有名な1bit通信から、スイッチON/OFFによるリミッター焼き切りまで、ギリギリまで粘って先へ進もうとする技術者たちの奮闘は、本当に涙なしには読めない。最終的に火星周回軌道への投入は失敗したわけだが、ここまでやったんなら、これだけの経験が積めたのなら、いいじゃんと思う。この経験はきっと「次」に活かされるわけだし。一国民としては「次」の実現を世論で後押しする、それだけだ。 |
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