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小指の先の天使
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著者: |
神林 長平 |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
仮想世界と現実世界のかかわりを、どちらかというと現実世界の方から描いた作品が多くて、例によって客観的に仮想世界を扱っていく。でも、最後の作品だけがちょっと舞台が違っていてめんくらう。なんとなく結論じみた話にはなっているんだけど、でもあまりに設定が違いすぎているので、本当に連続しているのかどうかよくわからない。うーん……。 |
関連本棚: |
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ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)
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著者: |
グレッグ・イーガン |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
読んでる最中、ずーっと「試されてる」という感じが抜けず。何を試されてるかというと、理系度というか、「おまえ、本当に物理専攻だったんか」と問われているような。すみません、数学は落ちこぼれでした(大汗)。
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解説で本書で一番難解なのは出だしの部分と書かれているが、大嘘である。日ごろからコンピュータに接していれば、理屈はわからなくてもイメージするのはチョロいっしょ? この、ソフトウェアが自我を確立するまでの過程の事細かな描写で、まずグイっと引き込まれる(か、人によっては投げ出すだろう)。が、そのあとに延々と続く、5次元とか6次元とか12次元とか無限次元とかの幾何学を文字だけで語るにおいては、もう、どうにもついていけん。マニアックすぎる。傑作中篇だった「ワンの絨毯」とか、ワームホールとたんぱく質の類似性とか、トランスミューターの遺物とか、個々のアイデアはメチャメチャ面白いんだけど。
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そう、この本、小説としての体をなしてないんじゃないか。SFらしい壮大なストーリーはあるんだけど(終盤の猛烈なスピード感はすごい!)、イーガンはそこにはぜんぜん重きを置いていないような気がする。各章は基本的に独立していて、それぞれが長編一本分のアイデアをぶち込んだイーガンの実験室だ。読者は章が変わるたびにまったく違う舞台装置に放り込まれる。小説を読んでいるというよりは、ゲームをプレイしているという感覚が近い。
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というわけで、「SFやっててよかったよ〜」と心底思えるヨロコビはある。そういう意味では五つ星。でも、小説としてどうよという疑問はぬぐいきれないし、当然ながら、こんなに読み手を選ぶ本を、人様にオススメできるわけがない。わかったふりをして絶賛する気には(まだ)なれない。自分の責任においてのみ、手に取るべき本である。 |
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轟きは夢をのせて―喜・怒・哀・楽の宇宙日記 3
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著者: |
的川 泰宣 |
出版社: |
共立出版 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
etc
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コメント: |
メルマガに連載しているエッセイをまとめたものとのことなので、肩の凝らない話ばかりだろうとちょっと油断していたんだけど、実際は涙腺を刺激しまくってくれて困った。別にお涙頂戴話が並んでいるわけではないのだが、的川さんの熱いハートがビンビン伝わってきて、感動させられてしまうのである。なんてヤバい本だ。
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例えば最初の方の話にこんなことが書いてある。M-Vロケットの打ち上げが単純なミスで延期になった時の話である:
<blockquote>機械がこんなに頑張るのですから、せめて人間が気をつければ防げるケアレスミスだけは、ロケットの打上げにはあってはならないことなのです。</blockquote>
自分たちが作ったものへの強い自信と愛情、きわめて高いプロ意識、そして(自分を含めた)チームへの厳しい姿勢がなければ、こんな書き方できないよ。TVなどのメディアでは温和なおじさんにしか見えない的川さんだが、こんな厳しい一面があることがわかって、日本の宇宙開発の現場にこの人がいて本当によかったと思った。 |
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紅い十月
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私的所有論
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著者: |
立岩 真也 |
出版社: |
勁草書房 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
Computer
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コメント: |
われわれ人間は、他者が「在る」ということそれ自体から快楽を得ているという、引用中にもあった「事実」が、さまざまな価値判断の根底にあることが明らかにされていく。じつに面白い。Wikiの話でおれが展開したことに対して、強固な地盤を与えてくれた。自分が操作しない部分を極限まで拡大し、他者が在ることから受ける恩恵を最大化できるツール、それがWikiと言えよう。実際、本書中で取り上げられている現実社会の諸問題よりも、Wiki上でこそこの主題が明確になっているように思う。
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もっとも、頻繁に主語を落とす独特の文体や、主題の性格上「私」という語が多義的だったり、個々のテーマを論じるために分析不能なレベルまでに細部に入り込む手法もあって、はっきりいって読みづらい。前半、他者の存在を浮かび上がらせるまではスリリングだったが、中盤から後半で政治や優生思想をからめ始めると、結論の歯切れが悪くなってしまうので(納得できる結論ではあるが)、読破するのにパワーが必要だった。
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万人にお勧めできるわけではないが、子供に「どうして人を殺しちゃいけないの?」と聞かれた時に、胸を張ってその理由を答えられるようになるかも知れない、とだけは書いておこう。 |
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啓示空間 (ハヤカワ文庫SF)
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著者: |
アレステア レナルズ |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
ライトSFとして読めば、ふつーに面白いと思う。だが、帯にあった「今年度ベスト1のSF」というコピーには同意しかねる。だいたい、『ディアスポラ』の直後にこんなコピーを付けた本を出版するハヤカワは、厚顔というより、誠実さに欠ける。
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解説によれば作者は元科学者なので考証もばっちりということらしいが、その考証に本当っぽさを感じない。SFである以上、書いてあることの大半がウソなのは了解事項なんだから、あとはいかにウソをホントらしく見せるかが作家の腕の見せ所である。元科学者だからハードSFが書けるとは限らない。
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1000ページもあるからか、話の動きがトロい。200ページくらいからやっと物語が始まる。おまけに種明かしは900ページを過ぎてから。もっと圧縮して、500ページくらいにしてくれれば、よくできたスペオペになっていたかも知れないのに。
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ハードSFと呼ぶには骨太さが足らないし、本格SFかといえば重厚感に欠ける。だから「ライトSF」。肩の力を抜いて軽い気持ちで読めば、やや格の落ちるスペオペとして楽しめるだろう。もっとも力を抜こうにも、1000ページを越えるこの厚さでは肩の方が凝ってしまうのだが。 |
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4000億の星の群れ (ハヤカワ文庫SF)
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著者: |
ポール・J. マコーリイ |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
いかにもB級スペオペっぽい表紙だったのでイヤな予感がしたけど、読むものがないのだからしょうがない……と買ってみたら、中身はけっこうハードで本格的なSFだった。もうちょっと雰囲気に合った表紙にしてくんないかなぁ、ハヤカワさん。
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本格SFには違いないが、かなり地味。おまけに表紙と違って貧乳の主人公がかなり抑制の効いた……というか抑圧的な性格なので、なかなか感情移入もできない。中盤、シェイクスピアのプリントアウトを手渡されるシーンでは、「おまえ、そこは泣くところだろ!」と思わず主人公にツッコミを入れてしまったほどである。
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じゃあストーリーに没入できるかというと、項を追うごとに謎が解き明かされるわけでもなく、深まるわけでもなく(結末の数10ページで一気に解決するタイプ)。けっきょく面白いのは、異星の大地をひたすら歩く、サバイバルのところ。冒険小説として読めばなかなか面白い……かも。
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反対進化 (創元SF文庫)
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著者: |
エドモンド・ハミルトン |
出版社: |
東京創元社 |
評価: |
★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
ここまで古い話なら、どんなに荒唐無稽なことが書かれていても笑って許せるだろう……と思って読んでみたが、そうでもなかった。というか、冒頭の「アンタレスの星のもとに」があまりにアレなので、かなり根性入れないと読み進められなかった。
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やっぱ古臭すぎるよなぁ。さすがにこれらを楽しむには、よほど広い心の待ち主(もしくはよほどのマニア)じゃないとダメじゃないの。なお、あまり古さを感じさせない「異境の大地」や「プロ」は楽しめた。SF小説に、時代を超える普遍性を持たせるのは難しいやね。 |
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