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中国武将列伝〈上〉
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著者: |
田中 芳樹 |
出版社: |
中央公論社 |
評価: |
A |
カテゴリ: |
人物を楽しむ
歴史
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コメント: |
これは、とにかく面白く読んだ。中国は懐の深い国で、桁外れの才能が出現する点はとくに日本人に及びもつかない。
<p>最も興味津々だったのは、唐の王玄策という人が遠くインドまで行って連戦連勝したという話と、前漢の陳湯という人がクラッススのローマ軍兵と戦ったという東西交流のあたりの話かな。とにかく、大陸というだけあって、西へ向かえばヨーロッパだし、北へ向かえばシベリア、南へ向かえばインドシナを越えてインド、ということで様々な世界に通じている。
上の二人は両方共に序章に載った人だけど、これ以外にもとにかく人材が豊富な中国。同じく序章によれば、この本はつまるところ、中国の歴史の中から武将について田中芳樹が100 人選んでなんか書こう、という主旨らしい。限られた紙面で100 人なので個々の物語は簡略化されてしまうのだが、様々な毛色の個性豊かな武将たちにはそんなこと関係なく、魅力をいかんなく発揮してもらえる。とにかく面白く読める。 |
関連本棚: |
teltel
Tarosa
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ヴァレリア・ファイル2122年 (角川文庫―スニーカー文庫)
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著者: |
谷 甲州 |
出版社: |
角川書店 |
評価: |
A |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
後に角川スニーカー文庫で4 冊の続編がでる、サイボーグ? ヴァレリアとハッカー少年MK の近未来SF。1987 に出版されているのだが、すでにウィンドウを使ったGUI でネットワーク上のデータにアクセスしたり、ハッキングしたりと未来を先取りしている。もちろん、アイデア自体は既にあったのだが、まるで体験してきたかのような描写は素晴しい。さらには、記憶をデータとして保存したり、考える防御兵器がでてきたりと、士郎正宗ばりの世界にもびっくり。内容は今でも色褪せていない。まあ、2122 にウィンドウシステムが存続しているかは解らないが。
数年前に新書サイズ(中公ノベルズ 上下 isbn 4125005842)で出版されなおしたが、そのときには挿絵が士郎正宗であった。多少の書き直しがあったそうなので、思わず買ってしまったのは言うまでもない。違いを比較したりはしないけどね。 |
関連本棚: |
teltel
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20世紀のエンジン史―スリーブバルブと航空ディーゼルの興亡
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著者: |
鈴木 孝 |
出版社: |
三樹書房 |
評価: |
A |
カテゴリ: |
工学
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コメント: |
<p>著者は、もともと日野のエンジン技術をやっていた人なので、エンジンのプロです。他にも楽しそうなエンジンに関する本をいくつか著しています。この本は、最新技術についての話題でもないし、タイトルのようなエンジン史といった、ただ歴史とか事件を網羅した話でもありません。スリーブバルブエンジンとディーゼルエンジンについて、エッセーのように書いてあります。
<p>特にスリーブバルブエンジンは、自分全く聴いたことがなく、こんな(今となっては)へんてこなエンジンがあったんだー、と目から鱗がおちました。
<p>この本によれば、主流の4 ストロークエンジンはほとんどの場合、シリンダーのてっぺんにバルブと呼ばれる茸弁(茸のような形をしている)を使ってガソリンと空気の混ざった混合気を吸って(吸気)、排いて(排気)、をしています。ところが、スリーブバルブエンジンはこの茸弁がなく、穴のあいた筒状のスリーブをタイミング良く動かすことで、混合気の吸気/排気を行うのです。今となっては見かけないので、マイナーなエンジンかと思うとそうではありません。1909 にダイムラーが採用したスリーブバルブエンジン(<a href="http://www.nmsi.ac.uk/piclib/imagerecord.asp?id=10221394">写真</a>) のように、一時期ブームになったりしています。
さらにその後、英国のウェリントン重爆撃機やホーカータイフーン/テンペスト/シーフェリー戦闘機にも使われていたりするのです。しかし、その後にはオイル消費料や、耐久性などの問題から採用されずに今日に至っているのです。他にもいろいろ話題があって、スリーブバルブエンジンとディーゼルエンジンから見たエンジンの世界が、実は綿々と現在のエンジンに繋がっているという、あながちエンジン史のタイトルも間違えじゃない内容です。
<p>文章は推敲が足りないのか、編集が悪いのか、ちょっと読みにくいです。それでも、現場を見知っている人の言葉なので説得力もあるし、エンジン屋の興味の対象がどこにあるのか解って面白いです。 |
関連本棚: |
teltel
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シールド・リング―ヴァイキングの心の砦
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著者: |
ローズマリ サトクリフ |
出版社: |
原書房 |
評価: |
A |
カテゴリ: |
歴史
借りて読んだ
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コメント: |
時代は征服王ウィリアムがイングランドを平定しようとする時。ウィリアムがノルマン人を率いて来るまでは、イングランドはヴァイキング、サクソン族の地だった。ウィリアムは、その手腕でイングランドを征服していく。徐々に追い詰められて行ったヴァイキングは、湖水地方に最後の集落を残すのみとなる。
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関連本棚: |
teltel
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夢みる惑星 1 (プチフラワーコミックス)
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著者: |
佐藤 史生 |
出版社: |
小学館 |
評価: |
A |
カテゴリ: |
コミック
佐藤史生
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コメント: |
<p>過去なのか、未来なのかある星の文明の最後に立ち会った人々を描くSF 。4 巻もの。状況は最悪、救いはないにも関わらず描く人物に悲壮感はない。ただひたすら生き抜こうとする。実のところ、佐藤史生の描くまんがは常にそうで、底流に生にたいする楽観というかほどよいいい加減さがある。 |
関連本棚: |
kana
teltel
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法隆寺―世界最古の木造建築 (日本人はどのように建造物をつくってきたか 1)
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著者: |
西岡 常一, 宮上 茂隆 |
出版社: |
草思社 |
評価: |
A |
カテゴリ: |
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コメント: |
<p>法隆寺を、穂積 和夫氏のイラストレーションで、宮大工の西岡 常一氏と宮上茂隆氏が解説していく、という絵本? です。法隆寺金堂を中心に、どうやって建てられたかを、順を追って描いています。
<p>
歴史的背景の解説もありますが、本筋は建てることです。まず、お堂を建てようと言う計画を立て終わると、建築そのものは基礎を作るところからはじまります。木を切り出し、かんなで削り、組んでいく。精緻だけど温かみのあるイラストレーションが、想像力を膨らませます。また、技法にも立ち入った正確な解説はさすが本職、です。飛鳥時代当時の技法が描かれていて、かんなは今の形じゃなくてやりのような形状のやりがんなを使ったり、堅い基礎を突いて造る、とか、物理的な構造上の解説もあり、瓦の作り方があったりともりだくさんです。
<p>
昭和に法隆寺の修復を行った、現場の発見も盛りこまれています。世界最古の木造建築なので、積み重ねられた時間が生々しい時の感覚を与えます。天井の板の裏には当時の職人の楽描きがあったりするのです。そういえば、周代のうるし棺に、同じように職人の指紋が残っていたりするのを見ると、いっきに3000 年の時を越えて人間が生きていた、という感覚を受けたのを思い出します。 |
関連本棚: |
teltel
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豹頭の仮面―グイン・サーガ(1) (ハヤカワ文庫JA)
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著者: |
栗本 薫 |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
A |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
<p>豹頭の戦士グインを巡る、ファンタジー。そのくせ主人公が延々登場せず、などという状態もしばしば。そして各キャラはどんどん作者に似て行くのか、セリフが長くなっていくのだが、グインのみはその影響から逃れている。さすが主人公だ。
<p>もう20 年以上前から読んでいるので、ほとんどの知人よりも長くつき合っていることになる。小説のなかのキャラクターの方をより知ってるなんて、不思議なものだ。ま、人間関係は時間の長さのみじゃないのだが。でも、新刊がでるたびに、友人に会うがごとく興奮して、にやけてしまうのはどういうことだろう。
<p>100 巻で完結の予定で今のところ96 巻まで発行されているのだが、作者が述べるところによれば100 巻では終わりそうにない。100 巻を超えてしまうとたがが外れて、いつ果てるともしれない物語になってしまいそうで恐ろしい。生きているうちに完結してくれることを望んでいる。 |
関連本棚: |
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Dreamer
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GREY 1 (少年キャプテンコミックススペシャル)
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著者: |
たがみ よしひさ |
出版社: |
徳間書店 |
評価: |
A |
カテゴリ: |
コミック
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コメント: |
<p>"死神"GREY は、戦闘そのものがシステムに組み込みこまれた世界にいる。そして、戦士だ。戦闘によって街と街が争い、人が死んでゆく。GREY は何回もの戦闘を生きぬいた優秀な戦士だ。彼は、一人になっても必ず生き残る。その異様な状況から、仲間からも恐れられ、"死神"と呼ばれてている。そんな彼がふとしたことから、システムの矛盾を知りシステムに追われ統制から外れることとなる。元々彼は、戦う事には意味を見出さず、ただ生き残ることを欲求していたからかもしれない。その後の戦いにおいても、彼は常に唯一人の生き残りとなり、戦いの結果得られるのは孤独だけだ。しかし、それに負けることなく戦いぬいていく。多くの助けを得ながら…最後の戦いを終えて、再び彼は唯一人の生き残りとなるのだった。
<p>最初は絵にしびれた。殺伐とした乾いたストーリーにも惹かれた。ていうかハードボイルド?? 掲載は徳間書店からでていた、少年キャプテン。コミックは全3 巻。キャプテンは雑誌の出版のタイミングがよくわからなかったので、後半はとびとびにしか読めなかったという記憶がある。アニマルとかもあの頃だよなー。そして、たがみよしひさとの出会いはこの「GREY」 だ。ちなみに、続いてキャプテンに連載された「滅日」にもめちゃくちゃしびれた。結局、たがみよしひさは今でも追っかけてる。 |
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夜の言葉 (同時代ライブラリー)
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著者: |
アーシュラ・K. ル・グウィン |
出版社: |
岩波書店 |
評価: |
A |
カテゴリ: |
SF
U. K. ル グィン
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コメント: |
ル グィンの評論集。特に印象深かったのはSF、ファンタジーがどうありたいか、ル グィン自身がSF 、ファンタジーをどのように書いているかを論じた数篇。能力やSF/ファンタジー的記号のステレオタイプと化したキャラクターや、現実の世界をただ装置を変えて置き換えただけのシナリオを批判し、それに対して言語、生活などの文化ごと、世界そのものを構築するのがSF、ファンタジーではないのかと主張する。そういった世界ではわれわれのおよびもつかない「何か」が存在しており、そこに想像力の働かせどころがあるのだ言うのだ。<br>
私自身、SF/ファンタジー を読むにあたっての判断基準のひとつになった。
また指輪物語をとても推していて、いかに優れた物語であるか語っている。ファンタジーの背後には人間への興味と考察があり、世界の構築がある。それらを満たす最高の物語のひとつとして、指輪物語がある。実はこの本をきっかけに指輪物語を読んだようなものであったりする。 |
関連本棚: |
うち
teltel
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