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知って合点 江戸ことば (文春新書)
知って合点 江戸ことば (文春新書)
著者: 大野 敏明
出版社: 文藝春秋
評価: ★★★★☆
カテゴリ: 歴史 民俗 言語
コメント:  オレはもともとこのテの話が大好きでよく読むんだが,これもまた目からウロコがボロボロと落ちる面白本,最近の流行で言えば「へぇ」連発でありました。以下オレが「ヘぇ」を発したヤツを2つばかし……。<BR>  (1)「男はつらいよ」で寅さんがいう「タコ社長」の「タコ」は江戸弁では「ばか」の上を行く罵倒語なんであり,その由来は「イカ」だったのだ。……これぢゃなんだか分からないか,将軍の家来には旗本と御家人という2種類があった。もちろん旗本の方が上(身分は大名と同格)なんだが,その区別は将軍に謁見できるかどうかであり,それが許されない御家人達を「お目見得以下」と読んだのだそうだ。旗本の子供は御家人の子供を馬鹿にして「以下」と呼ぶ。「イカ」と罵られたら「タコ」と言い返すしかないぢゃないか。なので,「タコ」というのは「目上のニンゲンを罵って言う罵倒語」なのである。寅さんもあれでタコ社長の方が自分より偉いとは思っているのである(ホントか?)。<BR>  (2)「旦那」も元々は上の旗本,御家人の違いから産まれた言葉なのだ。江戸後期,市場経済の発達に伴って昇給のない武士の生活は相対的に苦しくなり,買い物に行く下女なども雇えなくなって「御用聞き」というシステムが発生した。その御用聞き達は旗本の家では主を「殿様」と呼び,御家人の家では差を付けて「旦那様」と呼んだのである。やがて明治維新が起こり,山の手が薩長出の官員(新政府の役人)で溢れた時,江戸の商人達は彼等を御家人と同格と看做して「旦那」という言葉を使い,田舎者の役人はこれを尊敬語だと思って喜んだ,という話なんですよ,旦那。知ってましたか?
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呪いの研究-拡張する意識と霊性
呪いの研究-拡張する意識と霊性
著者: 中村 雅彦
出版社: トランスビュー
評価: ★★★☆
カテゴリ: 心理学 民俗 宗教
コメント:  愛媛大学で社会心理学を教えている著者は,同時にちゃんと資格を取った神主(神職というのが正確らしいが)でもあり,主に「呪術的実践と神道的世界観の心理学的研究」というのを行っている……そうな。<BR>  映画「死国」にも出て来たが,四国には伝統的に市井のシャーマン「拝み屋」が多数在住し,占い,まじない,加持祈祷などを行っている。彼らの役割,社会的位置などを文化人類学の観点から構造主義的に分析した研究は多い。が,それらの研究の多くは,基本的に彼らの行為の真偽や効果についての言及は避けてきた。本書はそれらの研究とは逆に,呪術や託宣,霊視や念力などの効果を現実のものとして認め,それが機能する心理的世界の模式を提起しようと試みたものである。<BR>  多少牽強付会的な印象もあるが,ユング呼ぶところの「ヌミノーシティ(霊性体験)」を,多くの場合その励起要因となる宗教性から切り離し,逆に全ての宗教がこの「霊性」の顕現に他ならないとする論理展開は興味深く,世界観としても面白い。また,この現象(というかチカラというか)を悪用しての呪詛やオウムのような人心収攬の危険性についてもキチンと言及しており,所謂「トンデモ本」ではない……いやトンデモ本を楽しもうと思って読んでも十分楽しいけどね(笑)。<BR>
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