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「数」の日本史―われわれは数とどう付き合ってきたか
「数」の日本史―われわれは数とどう付き合ってきたか
著者: 伊達 宗行
出版社: 日本経済新聞社
評価: ★★★★
カテゴリ: 歴史 日本 数学
コメント: hello makakas http://pitecan.com/Bookshelf/A4D9/4532164192.html
関連本棚: stonechild-2
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性的不能者裁判―男の性の知られざる歴史ドラマ
性的不能者裁判―男の性の知られざる歴史ドラマ
著者: ピエール ダルモン
出版社: 新評論
評価: ★★★★
カテゴリ: 歴史 社会 宗教
コメント:  カトリック教会によって離婚が罪とされていた中世から近世にかけてのヨーロッパで,唯一結婚の解消が認められたのが「夫あるいは妻が性的に不能で『結婚』を成就できない」場合だった。性的不能を理由とした離婚の訴えは,聖職者を判事とする公開の場で取り上げられ,現代の基準に照らせばまぎれもなくセクハラと言える尋問の果て,遂には「コングレ(性交実証)」と呼ばれる……なんてんですかね,ナマ板ホンバン? まで強制されていたのである。<BR>  この本は16〜17世紀フランスの「性的不能による婚姻無効訴訟」の記録を丹念にたどり,いかに倒錯した心性が神に仕える聖職者をしてこのような愚行に熱中せしめたのか,を追求した歴史学の論文である。結論を乱暴に要約すれば,肉体的には頑健正常(むろん性的にも,だ)でないとその資格を与えられないにも関わらず,女の肉体は悪魔の罠であると教えられ禁欲を強いられていた当時の聖職者にとってこの種の審判は「脳中に罪を犯す」絶好の機会だったというわけなんだが……。<BR>  そもそもカトリック教会が聖職者に妻帯を禁じたのは,相続によって教会財産が流出するのを恐れたからで,聖書に根拠があることではない(西暦306年の教会法で規定)。信者に婚姻外の性交渉を禁じたのも元を糺せば財産を巡る争いの元になるからだった。この2つの裏を返せば,貞潔の誓いというものは婚姻さえしなければ守られていることになるわけで,10〜14世紀,結婚しない聖職者はヤリタイ放題ヤっておったと(13世紀のある司教は産ませた私生児が65人を数えるまで何の罰も受けなかった)。<BR>  ……このなおざりにされていた禁欲が,16世紀頃になってにわかに(少なくとも表面上)守られるようになったのは別に突然真の信仰に目覚めたわけぢゃなくて,早い話新大陸からやってきた性病の蔓延のせいなんだよね。このへんの事情は以前読んだ「性病の世界史」に詳しかったんだが,こんな風に全く別に読んだ複数の本からの情報が頭の中で交錯して一個の絵を形作る快感というのは読書好きの醍醐味だね,うん。<BR>
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DUTY(デューティ)―わが父、そして原爆を落とした男の物語
DUTY(デューティ)―わが父、そして原爆を落とした男の物語
著者: ボブ グリーン
出版社: 光文社
評価: ★★★★☆
カテゴリ: 歴史 ドキュメント
コメント:  「マイケル・ジョーダン物語」で日本でも名前を知られているシカゴ・トリビューン紙のコラムニスト,ボブ・グリーンによるドキュメンタリー。落とされた側の国のヒトとして,また今アメリカがやってる戦争は暴挙だと思っているヒトとして,軽々にこの本を「良かった,感動した」とは言いにくいんだが,良かったし感動してしまった。 <BR>  彼の父親は第二次世界大戦に従軍し,主にヨーロッパで戦った。ドイツが降伏し,次の作戦,日本上陸のため船でインド洋を渡っている時,広島,長崎に原爆が落とされ,日本が降伏,おかげで若きボブ・グリーン・シニアはもう人殺そしてそのことを,原爆を落とし戦争を終わらせたB29「エノラ・ゲイ」の乗員達に感謝していた,というのである。グリーンは,父が遺した回想のテープと,20年間追い続けてようやくインタビューに応じてくれた「エノラ・ゲイ」の機長,ポール・ティベッツの言葉を重ねあわせつつ,「父達の世代」の心情をさぐっていく。 <BR>  本の終わり近く,グリーンはティベッツに「最後に泣いたのはいつですか」と訊く。エノラ・ゲイのパイロットは答える。「いままで一度も感情的になったり,突然泣き出したりしなかったからといって,心のなかでなにも感じていないわけではないのだ」。  
関連本棚: 小説苦手のkan
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賭博と掏摸の研究
賭博と掏摸の研究
著者: 尾佐竹 猛, 加太 こうじ, 藤田 幸男
出版社: 新泉社
評価: ★★★★
カテゴリ: 歴史 犯罪
コメント:  著者の尾佐竹先生は司法官で大審院判事まで務め,「日本憲政史」とか「明治文化史としての日本陪審史」などの著作もあるなんというか大学者なんだが,肩書きのわりに,というか反してというべきか,そうとうくだけたヒトだったらしく,この本も文語体でありながら慣れるとスイスイと読める面白さなんである (ただし注釈無しに引用されている古文書,漢文の類いは除くが) 。<BR>  賭博の研究においては,日本でおこなわれる賭博をサイコロ系とカルタ系に分類,そのルーツが実は一つであることを解き明かし,返す刀でサイコロ賭博の種類と方法を克明に記して行く。一個でチョボイチ,二個でチョウハン,三個でキツネ,四個でチイッパ,五個がテンサイというぐあい。次にはイカサマの手口,昔の時代劇でしか観たことがなかったが,ほんまに中から針が出て来てひっかかり,出目を左右できるサイコロとかがあったんである (センセイ,明治期にそれを売っていた店の新聞広告を引用している〜これを全文ここに書き写せないのが残念だ)。<BR>  続くは掏摸,まず掏摸の技術がこれほど発展したのは日本だけであり,斯様に小手先が器用なのは幼時から箸を使ってものを食うせいだという (そのわりに「支那人に掏摸の才能なし」と断じているのがヘンなんだが) 。その上で日本が誇る (実際誇っているように読めるのがおかしいんだが) 掏摸の技術,手口について詳細を記し,江戸時代の稲葉小僧などら明治に名高い仕立て屋銀次の捕縛と判決までを解説する。<BR>  目ウロコ話が山ほどある,詐欺賭博の類いのことを関東ではイカサマと呼んだが関西ではインチキと言う,同じ掏摸と言う字をスリと読むのは関東の語で,関西ではチボと読んだ,コートに鈴を下げてそれを鳴らさずにスり取れるように修行するというのはウソだ,修行は全部実習である (オレなど子供の頃にちばてつやの漫画で読んで信じていたのだがなぁ) ,なりたての掏摸はモノを取ったらすぐに駆け出す,なので「駆け出し」という等々,目からウロコが落ちる音が半径450mくらいに響き渡った。
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大本営発表は生きている (光文社新書)
大本営発表は生きている (光文社新書)
著者: 保阪 正康
出版社: 光文社
評価: ★★★★
カテゴリ: 歴史
コメント:  昭和16年12月8日から昭和20年9月2日の降伏文書への調印まで,45ヶ月間にわたる太平洋戦争の間,実に846回行なわれた「大本営発表」。現在ではその印象が一人歩きし,単に信用できない官製報道,建前と嘘で固めた不実なニュースという意味合いで使われることが多い。本書はその全貌を丹念に掘り起こし,選り分け,当時の軍関係者がなぜ客観的事実から目をそらせ事実を隠蔽しようとしたか,彼らがその先に(事実はいずれ明らかになる)どんな終末を心描いていたのかを明らかにしようという労作である。<BR>  いささか乱暴に,しかもいかにもオレ風に要約すると,(1)米英相手に戦争をやっても勝ち目はないという意見を押し切って戦争を始めた。(2)なので個々の戦闘でも「負けた」という報告はしにくく嘘をつくことになった。(3)勝った勝ったと報告しているのに実際には負けているわけだからどんどん現実と報告との乖離は大きくなった。(4)嘘がバレるの怖さに一億総玉砕を唱えて国民と無理心中を図った,ということになる。いや,帝国軍人はそんな卑怯者ではない,というご意見はあろうし,保坂さんもオレよりは同情的で「それは戦争というシステムを理解できなかった悲しい報告書だった」と論じているんだが……。<BR>  まぁ昨今なにやら元気になってきた感のある「日本は偉いぞもいちど戦争するぞ」派の勇ましくて少し足りない市民の皆さんには是非とも読んでいただきたい本である。<BR>
関連本棚: あおしま tmiura
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銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎
著者: ジャレド ダイアモンド
出版社: 草思社
評価: ★★★★
カテゴリ: 歴史 人類 文化
コメント:  テーマは気宇壮大である。例えば中国では紀元前の昔からヒトが農業を営み家畜を飼い文字を使っていた。ニューギニアの奥地には今現在に至るまで鉄を知らず新石器時代そのままの暮らしをしているヒトがいる。同じ人類でありながら,この差はなにに由来するのだろうか? この世界は現状,15世紀から16世紀に掛けて新大陸を「発見」し,「征服」したヨーロッパ起源の人々の手に牛耳られている。なぜ逆にならなかったのか? なぜアメリカ先住民が海を渡ってヨーロッパを「発見」し,「征服」することはなかったのか? この人類史における「謎」を科学の視点で解明しようというものだ。<BR>  おそらくは「論文」ではなくて「科学エッセイ」(確かジェイ・グールド博士などが自分の一般向け著作をこの名で呼んでいたと思う) に分類されるものなのだろうが,最新の研究データを分かりやすく紹介し,現在地球上に陸地としてある5大陸それぞれの環境と,その環境下で1万数千年を過ごした人類の「発展」について解きあかしていく展開は圧巻である。<BR>  中でもメウロコ (オレだけ?) だったのは,ヨーロッパ人の新大陸征服にあたって先住民の命を奪った最も苛烈な武器は,当のヨーロッパ人さえ意識せずに持ち込んだ,新大陸にはない病原菌だった,という部分。ユーラシアを起源とする集団感染症の病原菌の多くが群居性の動物を家畜化したことを契機に変異したものであり,家畜といっても大陸全体 (南北アメリカ全体で,だ) に共通するのは犬くらいだった場所には「存在しない」ものだったのだ,そうかそうだったのか。<BR>  もひとつ個人的には,西洋に先駆けて羅針盤など外洋航海術を開発し,15世紀のあたま頃には実際にアフリカ東海岸にまで到達していた中国人たちが,なぜ来る大航海時代の主役にならなかったのか,という考察が興味深かった。ヨーロッパに比べ中国は紀元前200年の段階で既にあの広大な面積を統一した「帝国」だった。それは同時期のヨーロッパにくらべれば正しく「先進」であったが,それゆえに取り残されることになった,この歴史の皮肉!。
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知って合点 江戸ことば (文春新書)
知って合点 江戸ことば (文春新書)
著者: 大野 敏明
出版社: 文藝春秋
評価: ★★★★☆
カテゴリ: 歴史 民俗 言語
コメント:  オレはもともとこのテの話が大好きでよく読むんだが,これもまた目からウロコがボロボロと落ちる面白本,最近の流行で言えば「へぇ」連発でありました。以下オレが「ヘぇ」を発したヤツを2つばかし……。<BR>  (1)「男はつらいよ」で寅さんがいう「タコ社長」の「タコ」は江戸弁では「ばか」の上を行く罵倒語なんであり,その由来は「イカ」だったのだ。……これぢゃなんだか分からないか,将軍の家来には旗本と御家人という2種類があった。もちろん旗本の方が上(身分は大名と同格)なんだが,その区別は将軍に謁見できるかどうかであり,それが許されない御家人達を「お目見得以下」と読んだのだそうだ。旗本の子供は御家人の子供を馬鹿にして「以下」と呼ぶ。「イカ」と罵られたら「タコ」と言い返すしかないぢゃないか。なので,「タコ」というのは「目上のニンゲンを罵って言う罵倒語」なのである。寅さんもあれでタコ社長の方が自分より偉いとは思っているのである(ホントか?)。<BR>  (2)「旦那」も元々は上の旗本,御家人の違いから産まれた言葉なのだ。江戸後期,市場経済の発達に伴って昇給のない武士の生活は相対的に苦しくなり,買い物に行く下女なども雇えなくなって「御用聞き」というシステムが発生した。その御用聞き達は旗本の家では主を「殿様」と呼び,御家人の家では差を付けて「旦那様」と呼んだのである。やがて明治維新が起こり,山の手が薩長出の官員(新政府の役人)で溢れた時,江戸の商人達は彼等を御家人と同格と看做して「旦那」という言葉を使い,田舎者の役人はこれを尊敬語だと思って喜んだ,という話なんですよ,旦那。知ってましたか?
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