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大仏破壊 バーミアン遺跡はなぜ破壊されたか
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著者: |
高木 徹 |
出版社: |
文藝春秋 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
タイトルに惹かれて手に取った本。そういえばこの作者、<a href="/%E5%B9%B3%E8%94%B5/4062750961">ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争 (講談社文庫)</a>を書いた人でした。<br>
タリバン政権成立の背景、タリバン政権に接近・侵食したビンラディンが、ついにはタリバンを全く別物の組織にしてしまった過程など、アフガニスタンの現代史がコンパクトにまとめられている。<br>
イスラム教=偶像禁止というイメージが強いせいか、イスラム教徒が大仏を破壊するという行為自体に、違和感を感じなかった日本人も多いのではないだろうか。しかし、そもそも、イスラム化して千年以上も経過したアフガニスタンで、なぜ、これまで大仏が破壊されなかったのか、それを何故タリバンが強行したのか。この問題を整理し、アルカイダがイスラムの教義を逸脱したテロ組織だと暴き出した点は、高く評価できると思う。 |
関連本棚: |
suchi
平蔵
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よもつひらさか往還
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著者: |
倉橋 由美子 |
出版社: |
講談社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
現代小説
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コメント: |
古典文学のエッセンスがそこここにちりばめられた、倉橋流幻想譚。文章から喚起されるイメージの豊かさに脱帽。 |
関連本棚: |
二代目平蔵
平蔵
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バルト海のほとりにて―武官の妻の大東亜戦争
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著者: |
小野寺 百合子 |
出版社: |
共同通信社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
最近復刊したようで、書影が出るようになりました。万歳!<br>
ムーミンシリーズの翻訳者として著名な小野寺氏の、自身の体験をつづった書。海外に赴任した高級将校の生活を妻の立場から描いたという意味で、相当に貴重なノンフィクションでもある。バルト三国の豊かな文化と誇り高さ、同時に、大国の狭間で生きざるを得なかった弱小国家としての悲哀が感じられる。小国ゆえにソビエトに蹂躙される、バルト三国の悲しい運命は、読んでいて切ない。 |
関連本棚: |
stonechild
平蔵
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カラシニコフ
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著者: |
松本 仁一 |
出版社: |
朝日新聞社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
「子供でも扱える銃」カラシニコフが与えたインパクトについて考察した一冊。カラシニコフの開発秘話も興味深いが、それにもまして、カラシニコフによって無政府状態に拍車がかかっているアフリカ諸国の報告には目の覚める思いがする。アフリカ特派員経験のある筆者ならではの報告と言えようか。「カラシニコフのない社会」を目指す「ソマリランド共和国」を描いた最終章が胸をうつ。 |
関連本棚: |
星河
shuhei
タテラッツィ
米示
sakai
mine
ann
山のじ
suchi
平蔵
qw
MadBoo
いとけん
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英国ユダヤ人 (講談社選書メチエ)
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著者: |
佐藤 唯行 |
出版社: |
講談社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
英国史の中でもスポットがあたりにくいであろう、イギリスのユダヤ人史について、丁寧にまとめられた好著。イギリス通史がある程度頭に入っているという向きには特にお勧めしたい。ユダヤ人というフィルターを通して見ると、また違ったイギリスの歴史が浮かび上がってくる。 |
関連本棚: |
平蔵
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かたみ歌
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著者: |
朱川 湊人 |
出版社: |
新潮社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
現代小説
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コメント: |
昭和40年代の東京の下町を舞台にした、ノスタルジックな連作集。日常の生活の中でおこる不思議な出来事がいずれも印象的である。粒揃いだが、しいて言うなら「栞の恋」と「ひかりの猫」(猫好き必読!)がおすすめ。押し付けがましさのない「郷愁」を描ける作家はなかなかいないので、今後の活躍に期待。 |
関連本棚: |
あずきのリアルな
2005年10月〜2006年・しんじ
平蔵
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夜の橋 (中公文庫)
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著者: |
藤沢 周平 |
出版社: |
中央公論社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
時代小説
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コメント: |
藤沢周平の短編小説集。士道小説あり、江戸の市井小説あり、とバラエティー豊かな布陣である。藤沢氏の市井小説は、賭場漬けの人間が必ず出てくるので好みではなかったのだが、士道小説と並べて読んでみると、独特の味わいと良さがあることに気づく。読んでいて楽しかったのは、武家の父と娘を軸とした、滑稽味のある家族小説「梅薫る」。「冬の足音」は市井小説だが、現代の30代独身OL小説に通じる現代性がある。 |
関連本棚: |
保志クロエ
平蔵
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ハーレムの女たち
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著者: |
澁澤 幸子 |
出版社: |
集英社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
謎のベールに包まれている、オスマントルコのハーレムの物語。オスマントルコと言えば、世界史の中でも屈指の版図を持った大帝国。その権力に密着するハーレムの人間模様、面白くないわけがありません。
それにしても、オスマントルコ史って、知っているようで知らないなあと反省。どなたか、文化や風俗を織り交ぜて、オスマントルコ史をわかりやすく書いてくれないものでしょうか。 |
関連本棚: |
平蔵
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いつもの朝に
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著者: |
今邑 彩 |
出版社: |
集英社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
現代小説
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コメント: |
読みごたえのある家族小説。結構重いテーマを扱っているのだが、ところどころに散りばめられたユーモアのためか、それほど重苦しい感じはしない。特に、弟・優太と、そのガールフレンド・千夏ちゃんの掛け合いが良い。エピローグにはほろりときました。 |
関連本棚: |
マリア
平蔵
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聖母の道化師 (中公文庫―エッセイ集)
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著者: |
井上 ひさし |
出版社: |
中央公論社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
エッセイ
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コメント: |
井上ひさし流、「吾如何にしてキリスト教徒となりしや」の表題作はじめ、ユーモアあふれるエッセイ集。「モッキンポット」シリーズは、この本のあとに読むべし。 |
関連本棚: |
平蔵
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音楽する社会
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著者: |
小川 博司 |
出版社: |
勁草書房 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
音楽
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コメント: |
大学時代、「世は歌につれ歌は世につれは本当か?」というお題目で、とても楽しい講座をしてくださった心の師匠の著。基礎となるのは結構難解な社会学の思考法だったりするのだが、論じられているのが日本のポップスなだけに、さくさくと読める。社会学ってこういうこともできるんだよ、ということを理解する書としても良いでしょう。<br>
そうそう、この本の中で、「今(1988年)の大学生は皆ピンクレディーを歌って踊れる」という記述があるのだが、数年前、「探偵ナイトスクープ」で実証されていた。ほんまに踊れるんや、と少々感動。我々の世代でいうとウィンクだろうか。しかし、ああも見事には踊れないしなあ。 |
関連本棚: |
平蔵
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蛇神 (角川ホラー文庫)
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著者: |
今邑 彩 |
出版社: |
角川書店 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
「蛇神」シリーズ第一弾。もともと今邑彩氏の小説のファンだったのだが、ホラー小説が苦手だったので、これまで手に取ることがなかった本である。しかしまあ今邑彩氏だし、読んで損はしないだろうと思い、勇気を出して読み始めたのだが…読み始めて早速後悔した。これ、伝奇ミステリじゃん!もっと早く読めば良かった…。<br>
物語の始まりは昭和52年。つつましくも幸せな日々を送る蕎麦屋の若女将・倉橋日登美は、突如惨劇に見舞われる。父と夫、5歳になる息子が、住み込みの青年に惨殺されたのだ。突然の出来事に呆然とする日登美の前に、若くして亡くなった母・緋紗子の親戚だと名乗る男性が現れる。その男は、緋紗子が長野県の人里離れた日の本村の出身であること、そこで「日女(ひるめ)」と呼ばれる巫女であったことを語る。
物語は前半と後半で大きく分かれる構成となっており、それが非常に効果をあげている。<br>
ちなみに、私は先にシリーズ第三作である<a href="/%E5%B9%B3%E8%94%B5/4041962056">双頭の蛇 (角川ホラー文庫)</a>を読んでしまったクチである。それでも充分に楽しめるのだが、やはりこの第一作から読むことを強力にお薦めする。 |
関連本棚: |
daichi
平蔵
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星は、昴 (ハヤカワ文庫JA)
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著者: |
谷 甲州 |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
どうもSFにのめりこめない(と言ったらSF愛好家の方にしばかれそうですが)初心者でも、描かれる世界にすっと入り込むことができる、稀有なSF短編集。どこか叙情的な香りがする表題作は特に印象深い。 |
関連本棚: |
すぐなくぅず
平蔵
km
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田辺聖子の源氏がたり〈1〉桐壷から松風まで
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著者: |
田辺 聖子 |
出版社: |
新潮社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
古典
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コメント: |
源氏物語の入門書に、これほどわかりやすく、かつ、読み物として面白い本があったであろうか。大阪リーガロイヤルホテルで催された講座をもとに編集されたということで、文体も平易ですらすら読める。大阪が誇る作家・田辺聖子先生の、古典に対する造詣の深さ、また、源氏物語に対しての思い入れの強さが実感できる一冊でもある。やっぱり古典を読むときは、そのときの時代背景だとか、文化的嗜好だとかを大家に解説してもらうのが一番良い。 |
関連本棚: |
ゴリゴリよりえ
平蔵
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ヨーロッパの舌はどう変わったか―十九世紀食卓革命 (講談社選書メチエ)
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著者: |
南 直人 |
出版社: |
講談社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
ヨーロッパの歴史を食生活という観点から活写した力作。一般に西洋料理としてイメージするものが、実は産業化以降の産物だということがわかる。牛乳の一般普及と細菌学の密接な関係など、目からウロコが落ちるエピソードが満載で面白い。
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関連本棚: |
平蔵
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