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帝国ホテル厨房物語―私の履歴書
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著者: |
村上 信夫 |
出版社: |
日本経済新聞社 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
帝国ホテルの名シェフにして、日本の一般の食卓を豊かにするという視点を失わなかった希代の料理人、村上信夫氏の自伝。困難にぶつかってもポジティブな姿勢を失わなかった生き様が快い。出征直前に、先輩シェフたちが「生きて帰って来いよ」という思いをこめて秘伝のレシピを伝授してくれる場面には、ほろりとしてしまう。 |
関連本棚: |
平蔵
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クォーター・ムーン (新潮文庫)
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著者: |
玉岡 かおる |
出版社: |
新潮社 |
評価: |
★★ |
カテゴリ: |
現代小説
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コメント: |
七年越しの恋愛に破れ、故郷大阪に戻ったさつき。女友達との友情、新しい職場、そして恋…という話なのだが、
ううむ、主人公が恋愛自己中心主義すぎて、感情移入できないまま読み終わってしまったぞ。<br>
それから、会話の中で出てくる「〜しとう?」(神戸の人はよく使いますね)、大阪の人はあまり使わない気がするんですが…。 |
関連本棚: |
平蔵
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編集者T君の謎―将棋業界のゆかいな人びと
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著者: |
大崎 善生 |
出版社: |
講談社 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
エッセイ
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コメント: |
<a href="/%E5%B9%B3%E8%94%B5/4062107155">将棋の子</a>、<a href="/%E5%B9%B3%E8%94%B5/4062100088">聖の青春</a>に続いて、大崎善生将棋関連本第三弾である。<br>
主に将棋に関するエッセイだが、なかなかオモロイ。これを読んで以来、我が家での佐藤棋聖の愛称が「モテミツ君」になりました。早く先崎さんのエッセイも読まねば。 |
関連本棚: |
平蔵
nozz -2007
ogijun
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陳真―戦争と平和の旅路
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著者: |
野田 正彰 |
出版社: |
岩波書店 |
評価: |
★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
この伝記の出発点は、筆者が、陳真という一人の女性の生き方に感銘を受けたことにあるのだろう。<br>
それはよくわかるのだが、伝記としては致命的な欠点を幾つも抱えている。<br>
一つは客観性の不足である。この伝記そのものが本人の述懐に頼っているようなので、致し方ない気もするが、周辺の人へのアプローチ、もしくは関連する文書・資料の検討がもっとあって然るべきであろう。<br>
さらに致命的なのは、記述内容の散漫さである。調べてわかったことを書きたいという欲求が見え隠れしているのだ。そして、その「調べてわかったこと」は、彼女の人生の十代まで(すなわち、命がけの逃避行を経て北京に到達するまで)のできごとにほとんど関連しているため、前半生に比べて後半生の内容が極端に薄っぺらいのである。<br>
私はNHK中国語講座の陳真女史も、ましてや北京放送の陳真女史も知らない世代である。戦後も日本と第一線で関わり続けた稀有な中国人の伝記として、後半生の記述が等閑にされているのは、いかにも惜しい。<br> |
関連本棚: |
平蔵
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聖の青春
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著者: |
大崎 善生 |
出版社: |
講談社 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
難病に冒されながら、プロ棋士として孤高の輝きを放った村山聖の物語。<br>
ぬぐいがたい死への親近感、将棋への情熱、森信雄との師弟愛。短くも凝縮した人生と言えよう。<br>
しかし、将棋界のしがらみから、奨励会入会を一年棒に振らざるを得なくなったとき、村山の悔しさはいかばかりであったか。 |
関連本棚: |
あずきのリアルな
枕元にはなぞ
平蔵
mattdamon3
ogijun
suchi
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アパルトヘイトの白人たち
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著者: |
松本 仁一 |
出版社: |
すずさわ書店 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
<a href="/%E5%B9%B3%E8%94%B5/4022579293">カラシニコフ</a>の著者の本をもっと読みたくて手に取った。<br>
アパルトヘイトの特殊性をわかりやすく抽出したノンフィクション。<br>
黒人側からアパルトヘイトを描いたルポは数あれど、白人サイドに焦点をあてたものは貴重である。南アの白人には2種類あるという視点に新鮮さを感じた。<br> |
関連本棚: |
平蔵
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下山事件―最後の証言
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著者: |
柴田 哲孝 |
出版社: |
祥伝社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
昭和史に残る謎「下山事件」を追った、読み応え十分の力作。<br>
なぜ国鉄総裁・下山定則は謎の失踪を遂げ、轢死体となったのか。戦後日本における下山事件の意味とは何か。最後まで持続する緊迫感が快い。 |
関連本棚: |
ORIENTAL-RUNRUN
らいさん
平蔵
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バイオリニストは肩が凝る―鶴我裕子のN響日記
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著者: |
鶴我 裕子 |
出版社: |
アルク出版企画 |
評価: |
★★★ |
カテゴリ: |
エッセイ
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コメント: |
エッセイ・ノンフィクションは、その業界の門外漢でも楽しめるものと、ある程度の予備知識を読者に要求するものとに大別できる。<br>
これは完全に後者。「コンマス」って何する人?という読者は読むのがシンドイのでは。日本はクラシックに明るい教養人が多いからこれでいいのかしらん。<br>
せめて指揮者の顔写真を載せてくれればなあ…簡略でも良いから、その指揮者の経歴について言及されていればなあ…と、クラシック音痴の一読者は思うのである。中村紘子さんはその点が抜かりなかった。名エッセイストと呼ばれる所以である。 |
関連本棚: |
sanpei
平蔵
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スポーツノンフィクション 咬ませ犬 (同時代ライブラリー (296))
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著者: |
後藤 正治 |
出版社: |
岩波書店 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
最近後藤さんの本が次々と岩波現代文庫で新装復刊されている。嬉しい。<br>
後藤さんが取材対象とする人は、ある種の円熟味を持った人たちである。この「咬ませ犬」では、特に、野球に真摯に向き合い、「壁」と呼ばれるブルペンキャッチャーを経て、中日の二軍監督となった福田功(現・横浜ベイスターズ)の章が良かった。 |
関連本棚: |
平蔵
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放送禁止歌
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著者: |
森 達也 |
出版社: |
解放出版社 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
放送禁止歌はメディアの共同幻想だと指摘した点は高く評価したい。<br>
放送禁止歌という隠れ蓑を使わずに、放送人が独自のモラルで流す曲を判断すべき、とする森氏の主張には大いに首肯する。<br>
もっとも、「イムジン河(リムジンガン)」の原詩を知る者としては、国交すら樹立されていない国の国策ソングを、公の電波にのほほんと流すのはどうかと思いますが。<br>
デーブ・スペクターとの対談は、アメリカのマスメディアについて面白い指摘も多々あるものの、さまざまな「事実誤認」があるので要注意。 |
関連本棚: |
benisuzu
Leiko
petsounds
suchi
のらねこ兵☆売っちゃった
平蔵
柴田邦臣
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「赤毛のアン」の秘密
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著者: |
小倉 千加子 |
出版社: |
岩波書店 |
評価: |
★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
筆者は「赤毛のアン」をかなり突き放して見ているので、「赤毛のアン」ファンがこの本を読むと違和感を感じるかもしれない。
個人的には、こういう本を書く人には、「赤毛のアン」にある程度の愛着を持っていてほしい気もするが…。<br>
全体の印象としては、論の展開がやや強引。が、日本での「赤毛のアン」人気についての分析(アンの生き方は、アメリカやカナダでは時代遅れとなっているが、日本では今尚現実味を帯びているという指摘)にはうなずける。 |
関連本棚: |
yuco
yoru
tokotierra
平蔵
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不屈者
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著者: |
後藤 正治 |
出版社: |
新潮社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
取材対象にぴたりと寄り添いつつも、その一方でその対象を俯瞰的に眺めることのできる能力。そして、確かな文章力、構成力。後藤正治さんはこの全てを兼ね備えた稀有のノンフィクションライターであろう。<br>
これまでに何冊も優れたスポーツノンフィクションを出している方なので、
ラガーマンの村田亙、元プロ野球選手の森安敏明の章は安心して読めた。異色ながら、予想以上に面白かったのは棋士・谷川浩司の章。後藤さん、昭和の将棋界について、もっと書いてください!
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関連本棚: |
平蔵
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サラン 哀しみを越えて
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著者: |
荒山 徹 |
出版社: |
文藝春秋 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
荒山徹氏の短編小説集。しかも題名が「サラン」…「愛」?韓流ブーム書籍のようなべたなタイトルに一瞬のけぞりかけるが、読後に「サラン=愛」という単純な図式ではないことが判明。さすが韓国語に堪能な荒山氏である。タイトルから誤解した己を深く反省。<br>
収録されているのは、いずれも日韓関係史の隠れた断面を切り出した作品ばかりだが、中でも「匠の風、翔ける」、「巾車録」が心に残った。首をかしげたのは表題作。たあという名の朝鮮女性が日本に連れてこられ、のち、キリスト教を信仰するのだが、その後の行動の解釈が斬新すぎる気がする。たあの一連の行動は、キリスト者ゆえと理解した方がすっきりすると思うのだが、いかがであろうか。 |
関連本棚: |
平蔵
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コバルト風雲録
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著者: |
久美 沙織 |
出版社: |
本の雑誌社 |
評価: |
★★★ |
カテゴリ: |
エッセイ
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コメント: |
実は学生の頃、いわゆる「少女小説」から縁遠い読書生活を送っていたクチである。なんとなく、「少女小説」イコール普通の小説の亜流、という偏見がぬぐえなかったからだ。最近、遅まきながら「少女小説」を亜流と見なすこと自体ナンセンスかもしれない、と思い始め、本書を手に取った次第である。さすがにコバルトの草創期から活躍している久美先生、小説業界の裏事情も含め、内容は非常に面白い。しかし。もともとHPに掲載されていた文章だからだろうか、あまりにも文章がフランクかつハイテンション過ぎて、読むのはちとしんどかった…。それにしても少女小説のファン心理というのは恐ろしいですな。 |
関連本棚: |
たこ
kiwa
平蔵
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地獄を二度も見た天皇 光厳院 (歴史文化ライブラリー)
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著者: |
飯倉 晴武 |
出版社: |
吉川弘文館 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
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コメント: |
日本史の中でも、混乱と動乱、策謀が渦巻く南北朝時代は興味の尽きない時代である。本書は、光厳院を軸に南北朝前期の時代を描いたもの。光厳院は鎌倉時代末期に生を受け、天皇位を継ぐ正当な後継者として帝王学を授けられ、一旦は皇位に上った人物である。しかし、政治的混乱の中、外部勢力に運命を弄ばれる。平時であれば、学問を修めた理知的な君主として善政をなしえた人物であろう。それだけに、その流転の生涯は哀れに思われる。 |
関連本棚: |
平蔵
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