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ドストエフスキー―謎とちから (文春新書)
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著者: |
亀山 郁夫 |
出版社: |
文藝春秋 |
評価: |
☆☆☆☆ |
カテゴリ: |
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コメント: |
ロシアの異教派とサド・マゾヒズム、性に基づいて大掛かりな推論を挑んでいるこの本。
最初はそれは無理だろと思って、いぶかしんでいたが、
読み勧めるうちにそのスケールの大きさにわくわくしだしました。
『罪と罰』のロジオンことラスコーリニコフは「復活」を果たしたのか。
『白痴』のナスターシャは処女であった?!
『悪霊』の検閲のために削除された部分には何が書かれていたのか?
『未成年』のアルカージーのオディプス・コンプレックス。
『カラマーゾフの兄弟』の重層なる「父殺し」とは?
『第二の小説』書き残されなかったカラ兄を予想する!
これらのことを亀山氏が鋭く空想します。
結論を性で纏めている気があるのはちょっと残念だけど、なかなかに楽しめます。
これからドストエフスキーを読む人のための入門書ではなく、
すでに作品を読まれた方がさらに二度目、三度目を味わう前に読む本としてお勧めします。
あらすじはあるけど、それだけじゃちょっと分かりにくいですし。。。 |
関連本棚: |
蝶 since 2008
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悩む力 (集英社新書 444C)
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著者: |
姜 尚中 |
出版社: |
集英社 |
評価: |
☆☆☆ |
カテゴリ: |
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コメント: |
悩んで悩んで、悩み続けよ。
そして吹っ切れるんだ!
私自身が始終悩んでいるような人間だったので、とても期待して読み始めました。
が、ちょっと肩透かしを食らった気がします。
それは、恩師の薦めでは、「いろいろなヒントが得られるかも知れません」とあったので、
悩み方を教えてくれるのかな、それか、
色々な疑問に何かしら納得のいくような答えを提示してくれるのだろうと早合点してしまったからです。
本書は著者、姜尚中氏の悩みの道中とその辿りついた先を綴ったものでした。
これはこれで、一つの意見としてとても参考になりました。
気に入った部分を少し箇条書きにしてみます。
第一章 「私」とは何者か
人は自我を守るために城壁を築きます。
私もそうだし、友人や周りの人間にも城壁があることをときに気付かされます。
城壁は必要なものです。もし壁がなければ城の中へ土足で踏み入れられてしまいます。
でも、それが高く積まれたら、誰も中へ入ることができません。
訪れる者がいなければ城内は決して栄えません。
自我、すなわち「私」には人と人とのつながりが必要なのです。
第三章 「知ってるつもり」じゃないか
情報が溢れた現代。そのため私たちは満腹状態です。
でも、本質的な問いについては何も情報を得てはいない私たち。
現代の文明によって人間の知性は分割されて、人は片輪者に打崩してしまうが、
それでも時代の流れに逆らったり、過去に固執するのはもっと愚かなのです。
第四章 「青春」は美しいか
「青春的に老成する」
第六章 何のために「働く」のか
働くとは、「他者からのアテンション」を得て、「自分が自分として生きるために働く」ことなのである。
文章がとても読みやすくて、夏目漱石氏とマックス・ウェーバー氏の引用も分かりやすかったです。 |
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鼻/外套/査察官 (光文社古典新訳文庫)
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著者: |
ゴーゴリ |
出版社: |
光文社 |
評価: |
☆☆ |
カテゴリ: |
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コメント: |
なんだかへんてこでした。「マジな顔で」とか「どえりゃー寒さ」とか、違和感がすごくありました。
言っちゃえば、今の時代には合うけれど、時代が過ぎれば価値を失いそう。。。
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関連本棚: |
蝶 since 2008
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星の王子さま 改版 (岩波の愛蔵版 1)
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著者: |
サン・テグジュペリ |
出版社: |
岩波書店 |
評価: |
☆☆☆☆ |
カテゴリ: |
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コメント: |
いちばんたいせつなものは、目に見えないのだ……
飛行機事故でサハラ砂漠のど真ん中に不時着した主人公。
そこに現れたのは小さな王子さま、星の王子さまだったのです。
星の王子さまと主人公が過ごした時間は短かったけれども、
一生忘れられないものを王子さまは残していってくれました---
星の王子さまが主人公と出会うまでの旅の序盤が印象的でした。
「さっきの秘密を言おうかね。なに、なんでもないことだよ。
心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。
かんじんなことは、目に見えないんだよ」
私もそうだと思います。
あとがきを呼んで、この物語がドイツ占領下にユダヤ人の友人のために書いたものだと知って、
物語の何割かを理解できたような気がしました。
全体を通して唯一の人物へ宛てたような強い心配りが感じられる気がしたのです。
心配りというか、励ましというか、、、当然ですよね。
でも、だからそれが後の読者の私たちひとり一人への励ましになっていて、
読んでいて、「そうなんだよね。うん、きっとそうなんだよ」という勇気が沸いてくるような気がしました。
でも、悲しみも一緒について回るのです。
きっとサン=テグジュぺリ氏のご友人を案ずる思気持ちが強かったのでしょう。
友人へ宛てたものだという経緯があったので、私はあとがきから読めばよかったな、と思いました。 |
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Lorelei
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小説「聖書」 (新約篇) (徳間文庫)
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著者: |
ウォルター・ワンゲリン, 仲村 明子, Walter Wangerin |
出版社: |
徳間書店 |
評価: |
★★★★☆ |
カテゴリ: |
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コメント: |
神の子も思い悩み、そして一度は死んだ。
それならばどうして私たちが思い悩まないことがあるだろうか---
イエスの誕生から死、そして復活までをイエスとその弟子たちの視点から描いた物語です。
ガリラヤの風景など、聖書を読むだけではなかなか難しいものですが、
この本は映画を観ているかのにように情景が浮かびます。
イエスの心情、そして弟子達の心情。
そして王たちの心の動きも事細かに書き込まれていて、
聖書では想像しづらい部分がこの本で納得がいく気がしました。
でも、あくまで著者、ウォルター・ワンゲリン氏の考える心情なので、
自分の思っていた想像と違っていても自分を曲げる必要はないと思います。
海外文学をもっと深く読み込むためには聖書を知っておきたい!
本読みなら一度は聖書を読んでおきたい!
多々ある聖書の引用をもっと理解したい!
でも、聖書はとっつきにくいし難しくて読めない!!
ってな方にお勧めします☆
登場人物が多く、また地名なども沢山出てきてちょっとてこずることがあるかもしれませんが、
聖書そのものに比べたら児童用の図鑑のように分かりやすいです。
これから聖書にトライしようかな、という人もその理解を深めるためにも是非どうぞ。 |
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james
蝶 since 2008
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貧しき人びと (新潮文庫)
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著者: |
ドストエフスキー |
出版社: |
新潮社 |
評価: |
☆☆☆☆☆ |
カテゴリ: |
ドストエフスキー
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コメント: |
こんなに悲しい話を読んだのは初めてかもしれない…
中年で下級役人のマカール・ヂェーヴシキンと薄幸な孤児ワルワーラ・ドブロショーロワの悲しい恋の物語。
二人の往復書簡で物語は展開されて行きます。
この作品は、特別な出来事があって、その特別な体験を物語にしている現代の作品にありがちな内容ではなく、なんでもない一人の人間の心痛と悩みが全体のテーマです。
その悩みは貧しさから来ます。
ただ慎ましく愛する人の傍にいたいだけなのに、世知辛い世間に翻弄される主人公シューブスキン。
憐れな身の上で貧しい病身の娘ワルワーラ。
シューブスキンのワルワーラへの悲痛な愛情が悲しく、悩ましく、それが綴られた彼の感情的な手紙の文章には涙を誘われます。
不運な娘ワルワーラ。彼女の涙には身震いを起こしました。
その他に登場する貧しき人々にも救いはなく、彼らの運命は悲しくて…
それらのことが自分と重なって、自分自身に同情を抱いているような気分になりました。
それから、ドストエーフスキーの喋るキャラクターを存分に味わえます。だって、手紙形式ですから。
この作品は処女作になるのですが、これから後の作品の『白痴』や『カラマーゾフの兄弟』などに登場する人物に通ずるものがあります。
読みやすいので、ドストエーフスキーを始めて読む、って方にお勧めです。 |
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稲村慎司
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可視の闇
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著者: |
ウィリアム ゴールディング |
出版社: |
開文社出版 |
評価: |
☆☆☆☆☆ |
カテゴリ: |
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コメント: |
"目に見える闇とは人間の心の闇だ"
『生きているって何?』『私は何?』『家族』『性』『暴力』そして『宗教』
これらの要素がふんだんに詰まった内容の本です。
人間の光と闇が対極的に描かれてます。
第二次世界大戦の戦禍真っ盛りの場面から始まり、その強烈なシーンから登場するマティ。
マティは心理描写に乏しく、苗字だって間違われるくらいにいい加減な調子で語られていきます。
彼は炎の中から生還したため、顔の右半分が奇形となります。その為に人を逃れ、己の身を精霊たち(神?)に捧げます。
でも、次に登場するソーフィには目で見ることができるような心理描写が施され、そして性と暴力を生々しく表現されます。
父親の愛を手に入れることができなかった彼女は人の最も暗い部分で埋められなかった部分を埋めようとします。
他にも、独我的(仕切り)な本屋のシム、少年愛好癖のある教師ペディグリーなどおかしな奴らがいっぱいでてきます。
でも、現実だって狂ってない奴などいやしないじゃない?
『僕たちはみんな狂っていて、人類全体が呪われた種族なんだ。
仕切りを貫くことができるかという問題に対して錯覚を抱き、妄想に走り、
混乱に陥っているんだ。僕たちはみんな狂っていて、孤独な監禁状態にあるのさ』P.447-449
人は仕切りを置くことで自分を保ってる。
でも、それ故分かり合えないのかも。 |
関連本棚: |
蝶 since 2008
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十六歳の闇 (集英社文庫)
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著者: |
アン・ペリー |
出版社: |
集英社 |
評価: |
☆☆ |
カテゴリ: |
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コメント: |
物語がなかなか展開していかず、いつになったら本題に入るの?とちょっといらいらしてしまった。
古いイギリスの生活様式がちらりと垣間見られた部分はよかった。 |
関連本棚: |
蝶 since 2008
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