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Reimi―聖女再臨 (祥伝社文庫)
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著者: |
戸梶 圭太 |
出版社: |
祥伝社 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
「赤い雨」を読んで、短文を積み重ねた疾走するような文章に感心した戸梶圭太だが、次の本を手に取るまでに思いの他時間がかかってしまった。私の中で「結構面白かったから他の作品も読もう」リストに入れたまま放置している作家は他にも何人かいる筈なので、ラノベばっかり読んでいる自分に恥じ入る気分の時にこそ、古本屋なりで彼等の作品を探してみるべきだろう。<br>
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“Reimi”“聖女”という言葉の響きでうっかり抱いてしまった聖らかなイメージが、大きく裏切られるグロテスクな物語だった。「復活の儀式」に備えて各々大事に1年間保管してきた「預かり物」を携え廃墟ビルに集合した面々が、相互不信と独占欲から策略を仕掛け攻撃を繰り広げあう。廃墟ビルで展開される4人の殺伐とした闘い・彼等が復活させようと願っている「聖女」にまつわる心ぬくもる?回想・集合場所にまだ登場していない残る1人の仲間による「聖女」の身元探し、それぞれが錯綜した構成は読んでいる内に混沌とした気分を引き起こすので、早く先を読みたいと思い急いでページを繰るが、話が進んで謎が明らかになればなるほど話は超自然的になり登場人物達は狂気に染まり、混沌とした気分はますます強まっていくという寸法。これが不条理ホラーなのかー、と変な納得の仕方をしてみた。あsだs |
関連本棚: |
素光
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ヴぁんぷ! (電撃文庫)
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著者: |
成田 良悟 |
出版社: |
メディアワークス |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
ラノベの吸血鬼作品はキリがないのでできるだけ手を広げないようにしようと思っているのだけど、この著者は以前から興味を惹かれている作品「バッカーノ!」シリーズの著者でもあるので、逆にこの吸血鬼作品を取っ掛かりに他の作品読む読まないを判断しようと思った次第。タイトルは一見カッコイイが、良く考えるとちょっと恥ずかしい。
吸血鬼らしくない(でもある意味吸血鬼らしい)体を持った紳士的な吸血鬼子爵・子爵の養子である男女の双子吸血鬼・子爵に敵愾心を抱く半吸血鬼の小物悪党市長及びその配下・物静かな吸血鬼食らいの少女・素人同然の吸血鬼ハンター集団、等の人々?がそれぞれの思惑の元に行動を起こし接触し闘い罠を仕の世に数多くあるが、この作品の吸血鬼設定は少なくとも私の目には既視感なくまた自然だった。また個性的なキャラを数多く配置して好き勝手に走らせておきながら、結末を綺麗に収束させて爽快感に満ちている。台詞もそれぞれのキャラが反映されていて上手いが、一方で地の分との繋ぎが上手く説明できないけどやや不自然な部分がちらほらあり、私が感じた唯一の欠点。総合的には当たりだったので、あとがきによれば出るか出ないかわからないという次回作を楽しみに待ちたい。子爵様の紳士ぶりに激しく萌え。「バッカーノ!」も読んじゃおうかな。 |
関連本棚: |
アネモネ
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有賀の借りてきた本
図書室で借りた本。
yas_a
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竜胆
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ふたたびの虹 (祥伝社文庫)
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著者: |
柴田 よしき |
出版社: |
祥伝社 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
柴田よしきの文庫新刊。丸の内の小料理屋を営む心優しい女将が、集まる客達から持ち込まれる謎・事件・告白を解決してみせる一方で、切り捨て隠した筈が時を経て再び蠢き出す自分の「過去」と向き合っていく連作短編集。料理の吟味も客達の謎解きも、どちらも女将にとっては同一線上のサービスであるようで、彼女の人の良さがうかがえ読んでいて気持ちが温かくなる。おばんざいとご飯のみの注文で酒を口にしない、「定食屋代わりの利用」である女性客も多いという、こんな店を私も知っていたらなーと思いながら読んだ。<br>
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全7篇中から、感想を幾つか(と言いつつ1つだけ)。<br>
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「聖夜の憂鬱 ばんざい屋の十二月」<br>
:<br>
過去のトラウマから、人々が浮かれ楽しむクリスマスを1人憂鬱に過ごすOLの告白を聞いた女将が、彼女を過去から解き放つ手助けをする。最初のこの1篇がいちばん心に残ったのは、リアルタイムで人が殺傷されるのではなく事件はOLの胸の内に秘められた過去の出来事であり、また女将の謎解きが真の意味の謎解きではない分女将の優しい「お節介」がより温かく感じられるからか思われる。もしくは、謎解きの舞台が中央線なので、親近感が湧いたのかも知れない。 |
関連本棚: |
素光
みづき
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秒針を止める放浪者―ヴァムピール・アリトス (角川ビーンズ文庫)
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著者: |
榎田 尤利 |
出版社: |
角川書店 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
シリーズ第3巻。あとがきに「これで一段落」とあった。キリが良いと言えば良い、早いと言えば早い一区切りであるが、「ラノベの対象年齢が幅狭いものである以上、だらだらと続けるのは読者・著者双方にとってマイナス」と考える私には好印象(淋しさを感じつつも)。<br>
<br>
科学信仰志向の男子高校生が、突然現れたヴァムピール(非科学的存在)に行動も思考も振り回されながら、同級生の問題児コンビと友情を深めたり、クラスで浮いた存在の少女が徐々に立ち直るのに手を貸したり、陰湿な苛めを加えられ自身の過去と対決したりする物語。目新しさはないながらも(というか今時吸血鬼ネタで目新しさを求めるほうが無謀)、人物や物語の描写が厳し過ぎず媚び過ぎず細やかで適度に暖かく、読んでいて心地良かった。また今刊で気がついたが、この作品は作品内世界の時間経過が刊行ペースとリンクしている。1巻が出たのが昨年の6月末なので、物語世界も始まりからちょうど1年が経過という、このペースも何だか安定感があって良かった。<br>
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今作では、教師として主人公周辺に潜り込んでいるアリトスが、主人公の友人に対し「自分で自分を『ナンパで不真面目な生徒』と演出しておいて、都合の悪いときだけ中身を見てくれなどと、甘えたことをぬかすな」等と厳しい言葉を投げかけるのと同様、人間の捕食者である自分の存在についても甘えを許さず幻想にすがらない、「自他共に厳しい」姿が印象に残った。あと、鬱屈した性格で素材の良さを台無しにしていた優等生理利が現状を打破できた秘訣が「人の目を見て自分との距離を測る、自分を本当に嫌っている人は嫌悪感を目に浮かべるからすぐわかる」とあったが、これは吸血鬼を見抜く能力を持つというダンピールだからこそ為せる技で、通常の人間がそれをできたら何の苦労もないじゃんと真面目に羨ましくなったりした。 |
関連本棚: |
なつりこ
素光
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下妻物語―ヤンキーちゃんとロリータちゃん (小学館文庫)
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著者: |
嶽本 野ばら |
出版社: |
小学館 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
映画「下妻物語」に興味を惹かれているのだけど、5−6月は観たい映画があり過ぎてもしかしたら手がまわらずビデオで済ます事になるので、先に原作だけでも読んでおこうと思い店頭の文庫本を手に取ってチェック。ロココの解説から始まる1ページ目に、「いきなしアカデミックでご免あそばせ。頭の悪い人、暫く我慢して下さいね」と高飛車に書き放ってあるのを読んで、くらくら痺れて買ってしまった。
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茨城の下妻を舞台に、土地柄に全く似合わない?ロリータ少女と土地柄に全くふさわしい?ヤンキー少女の奇妙な友情を書いた作品。ロリータ服は見た目の可愛らしさとは裏腹に、それを身に纏うには世間からの奇異の目を跳ね飛ばす鋼の精神が必要らしく、この作品の主人公の桃子はそれを「ロココの精神の体現」というポリシーで貫いている。彼女の独白は、冷めてはいるが自分の立場を見据えているから傲慢ではない視線で心地良く感じられる。またヤンキーのイチゴは、「一般人にはできる限り迷惑をかけない」という、土地柄なのか時代遅れで硬派なヤンキーぶりを通しつつ、頭の悪さから時折抜けた言動をしでかす辺りがチャーミングである。2人の言動は、見た目から想像できるボケ役ツッコミ役が逆転した漫才のようでとても楽しく、最後までハラハラドキドキそしてしんみりと読んだ。
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世間からは爪弾きにされがちな彼女達が、世間のイメージとは離れてしっかりと自分を確立している※1辺りにこの物語のカッコ良さがあるのに、後半からの展開はややドリーミー過ぎではないかという点は少々気になった。しかし逆に見れば、そんな流れの中でも彼女達は恐らく自分達の生き方を見失わないし曲げないだろうと想像でき、ドリーミーな展開だからこそ彼女達の良さが際立っているのかもしれない。他には、「茨城の人は頻繁に『殺すぞ』と口走るのだろうか」とか、「牛久大仏の付近では頻繁にヤンキーのケジメ行為が繰り広げられているのだろうか」とかが気になった。
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※1 あくまでもこの物語の中の「桃子」と「イチゴ」がそうであるに過ぎず、世間のロリータ娘やヤンキー娘が「不当に偏見に晒されているけど実は立派なポリシーを持った人達」であるとは当然限らない。 |
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ジョセフ
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たまゆらの鏡―大正ヴァンパイア伝説 六道ヶ辻 (角川文庫)
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著者: |
栗本 薫 |
出版社: |
角川書店 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
大正の時代、地方都市である伊奈に住む元城代家老の娘・百合は、父親と共に訪れていた元藩主の娘・莢子の家で、斎門伯爵と名乗る美貌の男と引き合わされて以降、閉塞し退屈なものと覚悟していた自分の未来が大きく揺れ動くのを感じる……。タイトルでと謳っている通りの吸血鬼譚である。「ヴァンパイア」の名前につられて、久々に栗本薫作品に手を出してみた。単行本の文庫化だろうと思っていたら文庫書き下ろしだったので、何故かちょっと得した気分。
「綺麗なモノが大好きで自分自身も美人でその上賢くて、我が儘高慢な元藩主家のお姫様には正直ちょっと困っているけれど、美人だしわかりやすくて可愛らしい性格とも言えるし歴史的には主君の娘だから怒らせちゃいけないし私の他にはお友達ができないような方だから、控えめに振舞って仲良くして差し上げていますのよ」という感じの主人公が鼻につかなければ、栗本薫風耽美+古典的吸血鬼を堪能できる。捻じ曲げられたホモカップルもいないので安心。主人公と元藩主家の娘が着道楽で、また伯爵の家に暮らすフランス人の娘も沢山の着物を与えられているという設定なので、着物の色・柄・素材・種類の名称が次々に出てくる。この辺の知識を持っている人なら、一層楽しんで読めるのではないかと思う(栗本薫の趣味が悪くない限り)。
物語の後半に登場する大導寺竜介という人物は、「六道ヶ辻」というシリーズ小説の登場人物であるらしい。また斎門伯爵は、「ヴァンパイア・シャッフル」という舞台の登場人物であるらしい。しかしこれらの作品との完全な整合性を期待するのは、著者あとがきによれば「美しく仕上がった繊細な和菓子や懐石料理に、栄養学者がカロリー計算や分析表を持ち込んで分解し始めるようなもの」であるらしい。言わんとする事はわからなくもないが、作家なんだしもうちょっと上手な言いようがあるだろうに、と思った。いや、あとがきがこれでこそ「栗本御大」と呼ばれるにふさわしいのだろうけど。舞台のほうはどうにもならないが、「六道ヶ辻」シリーズには少々興味を惹かれなくもない。忘れなければ古本屋で探そう。 |
関連本棚: |
素光
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新月の前夜祭 スカーレット・クロス (角川ビーンズ文庫)
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著者: |
瑞山 いつき |
出版社: |
角川書店 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
「スカーレット・クロス」第3巻。著者は新人さんだし、この話は面白いとはいえスケールが小さめなので、3巻ぐらいで完結するとちょうど良い感じだと思っていたのだけど、今刊で完結していないという事はまだまだ続くのだろう。うーむ、ラノベは手軽に読めて手軽に終われてこそだと思うので、ちょっと残念。
半人前吸血鬼ツキシロと彼女をの主人である不良神父ギブの前に、お待ちかね?のギブの師匠が登場。ギブは胸フェチ、ギブの幼馴染レオンは脚フェチと来て、師匠ビルは尻フェチだった。どうせ爺な時点で多くの読者達が特別に思い入れる対象からは外れるのだから、ここはさすがな師匠っぷりを見せつけて「女なら誰でもどこの部位でも見境なく好きで手を出す」ぐらい突っ走って欲しかったが、少女小説にそれを期待するのが無理というものだろう。他には、彼等とは対照的な純情暴走少年が登場するが、エロイ大人達がカッコ良く書かれてしまっている為に、若く純情である事が特別な価値を持たない状況であり、一方的に不利な立場なのが眺めていて哀れだった。そして純情少年の他、ツキシロもギブの宿敵ヨセフ神父も「暴走」し、ギブはいつも通り斜にクールに構えているかと思いきやそうでもなく、怒涛の如く突っ走る展開は雨降って地固まらないまま次巻に続いた。この状態からどれだけ綺麗な結末に持っていってくれるか、今からとても楽しみ。 |
関連本棚: |
素光
翡翠
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スカーレット・クロス 月闇の救世主 (角川ビーンズ文庫)
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著者: |
瑞山 いつき |
出版社: |
角川書店 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
「スカーレット・クロス」第2巻。発売直後に読んですっかり感想も書いたつもりでいたのだけど、最新刊を読んで「どれ、自分の書いた前巻の感想でも参照してみるか」と思って日記内検索したら、1巻の感想しか出てこないのでびっくりした。そして今慌てておぼろげな記憶を引っ張り出しつつ、感想を書いている次第。
吸血鬼の能力も女としての立ち振舞いも半人前な吸血鬼少女ツキシロが、「聖なる下僕」として仕えている不良サディストの美形神父ギブに振り回されながら、健気に頑張る話。ギブは神父なのに女たらしで胸フェチであるが、今回登場するギブの幼馴染レオンは同じく神父なのに女たらしで脚フェチである。「女好きだけれどもきちんと美学があり本人が美形」、という彼等の設定が如何にも「少女向け小説に出てくる女好き」の典型例っぽく、免疫のない少女達が顔真っ赤にしそうな際どいエピソードもありつつ、ヨゴレのエロじゃないので気分悪くなりはしない安心安全設計。しかしギブとレオンの突然の喧嘩におろおろするツキシロを嘲笑うかのような展開は、こちらの予想を上回る彼等の性格の悪さが如実に現れており良かった。性格悪い振舞いと言えば、ギブに敵対する動きを見せるヨセフ神父もあてはまるが、彼の場合は狂信的思考かビジネス的思考のどちらかに則って行動している雰囲気なので、彼等よりは育ち良さげである。 |
関連本棚: |
素光
翡翠
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ドミノ (文芸シリーズ)
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著者: |
恩田 陸 |
出版社: |
角川書店 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
全社営業決戦期の最終締切日に滑り込みセーフの契約を何とか提出しよう頑張る保険会社員達、思いがけない電車事故で足止めを食らった上司の回収を依頼されるピザ配達員、おやつの買出しを依頼されて張り切る女性社員、句会のオフ会の為に上京した穏やかな老紳士、待ち合わせ場所になかなか現れない彼の到着を待つ強面の老人面々、ある計画を胸に秘め変装を施した謎の女性、ミュージカル脇役の座を射止める為にオーディションに臨む少女達とその母親達、次期会長の座をかけてミステリ映画の謎解きに挑む大学生男女、映画のプロモーションの為に来日している映画監督&こっそり連れてこられたペット&監督の付き人、美男子の実業家&彼のだらしない恋愛の後始末に協力する為カップルを装う美人の従姉妹、テロ計画を企てるテロリスト一味……。こういった面々が、思わぬ運命の意図で「東京駅」に収束し、「荷物のすり替わり」を発端した事態は混乱の度合いを極めつつ、結末に向けて猛スピードで突き進んでいく。
「閉塞された土地の持つ不思議な力」「思春期の少年少女達の伸びやか又は鬱屈した胸の内」といった恩田陸テイストは影も形もなく、まるで芝居か映画を観るようなジェットコースターストーリー的喜劇風パニック小説。恩田陸らしからぬ作品だが、これはこれで非常に面白い。何より、長編作品ではやや詰めの甘さが感じられる事が多い恩田陸が、これだけの多人数(27人+1匹)を揃えてのしかも連載小説で、各登場人物を書き分けつつ伏線も消化しまくって話をきっちりまとめ上げられている事に感心した。その分登場人物達は漫画的な性格付けで、確信犯(誤用ではない)のテロリスト達はまだしも、オーディションに挑戦する少女の内1人の母親の「嫌な奴」役の背負わされぶりといったら哀れなほどなのだけど、この作品にはしっくりあてはまっている。 |
関連本棚: |
ぐうたら大学生
素光
taku
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恋人達の狂騒曲―スクラップド・プリンセスサプリメント〈2〉 (富士見ファンタジア文庫)
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著者: |
榊 一郎 |
出版社: |
富士見書房 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
シリーズ番外編その2。その1は短編集だったが、その2は本編が始まる少し前頃の主人公パシフィカ達のエピソード丸々1篇となっている。同級生に恋文の速達を依頼されたシャノン達が、「地獄の暗黒メイド軍団」に足止めを食らって悪戦苦闘するといった筋。本筋が始まる以前だけに、重荷を負っていないパシフィカは見事なまでに屈託なく、また用心棒ではないシャノン&ラクウェルはまだ腕の未熟な部分もあったりするが、根本的な性格は3人ともかわらずで仲の良い兄姉妹ぶりが大変微笑ましい。また、あとがきに「本編のシリアスな展開に反したお気楽極楽な話を心掛けた」(意訳)とある通り、「廃棄王女」シリーズよりはむしろ「まじしゃんず・あかでみぃ」シリーズに近い読後感で、「ラノベ読んでるなあ」という感じがした。 |
関連本棚: |
鍛鉄
素光
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竜胆
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異人たちとの夏 (新潮文庫)
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著者: |
山田 太一 |
出版社: |
新潮社 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
山田太一は「ふぞろいの林檎たち」の脚本家で有名だが、私はそちらをちゃんと見た覚えがなく、「飛ぶ夢をしばらく見ない」の作家という認識をしている。「飛ぶ夢を〜」は、不思議なストーリーと中盤を通り越した年代の登場人物達にしか醸し出せない切なさが大変良かった本なので、他の本も読んでみようと思っていた次第。また、こちらの本の題名は山田太一と関連なく知っていて、それは恐らく映画公開時のTVCMを観ていたからに違いない。確か片岡鶴太郎が出演していた気がする。
妻子と別れ、仕事場に借りていたマンションで孤独な生活を送る中年のシナリオライターが、「自分が子供の頃の両親」と不思議な再会をし彼等との交流に心癒されるが、しかし時を同じくして体に謎の不調が生じた為に、新しい恋人から「彼等と逢わないよう」嘆願される……という話。神経質な気質の主人公男性が家庭と仕事両面でのWパンチで孤独に陥り心荒ませる様に、主人公と職種も年齢も性別も違うのに妙な共感を覚え、また主人公が「子供時分の両親」と睦まじく会話する場面では、世代も地域も違うのに同じく妙な郷愁をかきたてられた。「過去」との出会いと別れの物語に留まらず、もう1−2本の糸が絡んだ構成も話に深みを与えている。淡々としているのに深い、不思議な作品だった。映画のほうも評判が良いようなので、忘れない内にビデオを借りようと思う。 |
関連本棚: |
暇人
素光
Laggnugg
takeshi
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日出づる国の吸血記〈3〉 (ソノラマ文庫)
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著者: |
渡辺 裕多郎 |
出版社: |
朝日ソノラマ |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
「日出づる国の吸血記」完結作。美少女顔が最大のコンプレックスで日々実戦訓練に余念のない(又は単に喧嘩っ早い)空手屋高校生の主人公が、前世の宿敵にして現世の好敵手候補である柔道家と出会ったり、前世の自分であるという極悪非道な吸血鬼「東の王」との対話を試みたり等してクライマックスを迎える。
武術の理論吸収・薀蓄披露や実戦に明け暮れている主人公を含む(ごく一部を除く)男性陣が少年漫画的に熱くそして爽やかなのに対し、女性陣は執念をどろどろと渦巻かせているのが好対照。私利私欲に走ったり復讐に燃えたり、そこまでせずともちょっとヒステリックだったり男には理解できない思考回路を秘めてただひっそりと居たり等、この作品の女性達は(吸血鬼よりも)怖い生き物なのだった。大きな盛り上がりには欠けたけど、綺麗に着地したので読み終わって良い気分だった。 |
関連本棚: |
素光
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木曜組曲 (徳間文庫)
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著者: |
恩田 陸 |
出版社: |
徳間書店 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
耽美小説の大御所であった重松時子の死を悼んで毎年彼女の家に集まり宴を開く、文壇・出版界周辺に身を置き彼女に縁が深い女性達5人。しかしこの年の宴は今までと違い、正体不明の主から届けられた花束に添えられた告発メッセージに触発されたかのように、1人1人が今まで秘めてきた思い・疑問・そして告白を口々に並べ、今まで突発的な自殺とされていた時子の死の真相が明らかにされていく。
恩田陸の作品にしては珍しく、超常的な要素が欠片も存在しない作品。代わりに明晰な知能を持った女性達の濃密な心理が詰まっており、恩田陸ではない他の女流作家の作品を読んでいるかと見紛う雰囲気である。ある意味告白大会である女性達の宴は、「ネバーランド」で寮暮らしの男子高校生達が罰ゲーム代わりに行う告白大会を彷彿とさせるが、「ネバーランド」の告白大会が個々の抱える苦悩の昇華作業であったのに対し、「木曜組曲」のそれは重松時子という1人の女性へ向ける様々な思いの昇華作業である。
引き出された告白によって、その時見える真相と思しきものが羅生門の如く二転三転する構成が、深みがあり最後まで引き込まれて読んだ。また、文壇・出版界周辺にそれぞれ身を置く女性達がそれぞれの視点で語る「物書き」観は、個々の女性達を立たせると同時に物語に端を添え、またそれらのどれもが恩田陸という作家から出ている主張かと思うと大変興味深かった。映画化もされたらしいので、今度ビデオ屋で見つけたら是非観てみようと思う。 |
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F
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象と耳鳴り―推理小説 (祥伝社文庫)
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著者: |
恩田 陸 |
出版社: |
祥伝社 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
退職判事関根多佳雄を謎解き役に据え、初老男性の豊富な知識と落ち着いた視点で事件や日常生活の中に潜む謎を解くオムニバス短編集。裏表紙の作品紹介には「なにげないテーマに潜む謎を、鮮やかな手さばきで解き明かす論理(ロジック)の芳醇なる結晶」とあるが、私が読んだ限りでは、超自然的な設定が絡む作品を多く手がける恩田陸らしい曖昧や混沌を適度に残した雰囲気の作品が多く、「鮮やかな手さばきで解き明かす」という謳い文句はやや違うのではないかという気がした。また、その作品がもたらす曖昧や混沌といった雰囲気に、主人公である関根多佳雄氏があまり馴染んでいないように感じた。作品の雰囲気も関根多佳雄のキャラクターも、個々ではそれぞれ魅力的なのだけど。ちなみにこの関根多佳雄氏は、著者のデビュー作「六番目の小夜子」の登場人物関根秋の父親であり、短編集の中には彼の兄・春と姉・夏も登場する。
読み終わった全12篇の内、感想を幾つかリストアップ。
曜変天目の夜
:
美術展に貴重な焼き物を見に来た関根多佳雄氏が思い出す、かつての知人の死とその真相。高校生男女を主人公に据えた作品では描けない、関根多佳雄氏の視点だからこその「老い」「死」を扱った作品。「人間は肉体という釜の中で焼かれる作品で、人生が終わるまでどんな作品(或いは失敗作)が出てくるかはわからない」という言葉が重い。あと曜変天目茶碗は機会があったら本物を見てみたい。
往復書簡
:
地方新聞社に就職したばかりの姪の周辺で起こる謎の放火事件を、関根多佳雄氏が手紙のやりとりから解決に導く。この短編集の中ではいちばん好きな作品。話が自然で謎解きが論理的であり、また話が関根多佳雄氏の人柄に馴染んで感じたのが理由である。また、手紙の文面から把握できる姪の孝子嬢の人柄も関根多佳雄氏と同じぐらいまたはそれ以上に好ましかったのも良かった。
魔術師
:
引退した判事に招かれて彼の郷里を訪れた関根多佳雄氏が、その地方に密かに広がる都市伝説の謎に迫る。恩田陸の初期作品「六番目の小夜子」「球形の季節」辺りを彷彿とさせる、地方都市と伝承を扱った作品。謎の解明という点ではいまいちしっくりこないが、都市伝説という題材である以上明確な答えが提示できるものであっては逆におかしいだろうし、最後まで曖昧な部分も含めて初期作品の雰囲気を思い出してなかなか良かった。また作品中に出てくる「都市が『大きくなりたい』という意志を持つようになる」という言葉は、フィクションの枠を飛び越して共感できる話だと思った。 |
関連本棚: |
うにのとげ
餅好
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joulli
jinc
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シャリアンの魔炎〈3〉 (コバルト文庫)
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著者: |
ゆうき りん |
出版社: |
集英社 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
タイトル通り「シャリアンの魔炎」第3巻。あとがきによれば、次巻又は更にその次で完結の予定、との事。ゆうきりんはコバルトノベル大賞受賞作家(らしい)だけあって、集英社系のライトノベル文庫での扱いは悪くないように見える。作家の書きたい通りに書かせてもらっているように見える(あくまで私個人という読み手の視点だけど)。
戦女神ス・イーに授けられた「シャリアン聖教神国の貴族達を皆殺しにする宿命」を果たすべく、他部族と袂を分かちシャリアンへ潜入しては貴族と聖職者を片っ端から殺戮していくルァズ。自分の為すべき事に考えを巡らせて、貴族である身を隠し自分や同胞を殺す宿命のルァズに仕えながらも、自分の手の届く範囲の人を救おうと行動するリリーベル。唯一神ルーオレアンに聖騎士として仕え、お飾りである他の聖騎士達や自分の保身で忙しい貴族及び聖職者達の様子に胸を痛めながら、自身は毅然と“獣”ルァズに立ち向かおうとするアリエス。この3人に、ルァズ達を中途半端な情報で操ってシャリアン転覆を目論む男や、ルァズの傍らにいながらも別の思惑がある様子の男、等が絡みいい感じに予断を許さない展開となっている。
少女騎士達を率いて“獣”に果敢に挑んだものの無惨に打ち破られ、文字通り汚水にまみれながらも這い上がり別の形の戦いに身を投じようとする、男装の公爵令嬢様に激しく萌え。ヒロインのリリーベルももちろん悪くない。ゆうきりんは、媚びを含んだオタ向け萌えキャラよりも、こういった少女小説ヒロイン系少女キャラのほうが、より魅力的に書けているのではないかと思ったり。単に私の好みの問題かもしれないけど。 |
関連本棚: |
素光
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オーパーツ・ラブ 3rd 〜ファラオさまのミス女王様を捜せ!〜 (オーパーツ・ラブシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
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著者: |
ゆうき りん |
出版社: |
集英社 |
評価: |
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カテゴリ: |
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コメント: |
「オーパーツ・ラブ」シリーズ、読んだ当時は最新刊だったが感想を書きそびれてる間に更に新しい巻が出てしまった。今巻は、3rdから登場した新キャラである電波系貧乳眼鏡っ娘の九十九が、我等?がファラオ様であるイプネフェルと、彼等の居住地である珠原井市の女王コンテスト(ミスコン)で熱くも低次元なバトルを繰り広げる話。時折トラブルメーカーとして機能する、「元はデブ♂だが呪いで巨乳ツインテール美少女に変身してしまった」小泉孝太郎が、再び話を引っ掻きまわすと共に神話的な設定も掘り下げ、展開に一役買っているがやっぱり私はこのキャラは好きになれない(元が男なのに美少女で「男の体に戻る為に男の体を狙っている」という設定が生理的に駄目)。<br>
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ミスコンの水着審査の場面で「貧乳少女の黒ビキニ水着」「巨乳少女の白セパレーツ水着(下はショートパンツ)」は中身とのギャップに萌える、といったくだりがあったが、これは私にはどうもよくわからない。やっぱり「貧乳は清楚又はフリル付の可愛らしいワンピース」「巨乳は大胆なビキニ」こそ、中身の魅力を最大限に引き出して素晴らしいと思うのだけど、殿方には別種の感想があるもんなんだろうか。あーでも前に安達祐実の黒ビキニ写真を見た時には良いと思ったな |
関連本棚: |
素光
taka2
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オーパーツ・ラブ 3rd 〜ファラオさまと、にえのハート〜 (オーパーツ・ラブシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
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著者: |
ゆうき りん |
出版社: |
集英社 |
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コメント: |
「オーパーツ・ラブ」シリーズ、前巻の感想を書く前に出てしまった最新刊なので感想は2つまとめて書いてみた。今までの構成通り、この3巻目を持って「3rd」のシリーズが完結する形になっている。3rdのメインヒロインであった九十九嬢、最後は華々しい見せ場をとばかり、マヤ王国の女王として王国復活に本格的に乗り出している。イプネフェルの兄であるツタンカーメン(九十九自身は「トウモロコシの神様」と信じ込んでいる)の指示に乗った九十九の策は、通っている学園の地盤を最大限に活かしたものなのだけど、幾ら現実にあり得ない系のぶっとびファンタジーであるとは言っても、学校という機能を考えればどうも無理がある展開なのがどうしても気になった。<br>
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まあこの話、学校にちゃんと通っているのはヒロインの1人である亜弐とその友人清美・そして3rdのヒロインであった九十九だけで、主人公である獏は万年ひきこもりだし他の居候は人間ですらないしという事で、学校のリアリティなんかどうでも良いんだろうし、あまりにご都合主義過ぎる展開が出てくるのも今回が初めてって訳でもないんだけど。変にひっかかってしまったのは、最近恩田陸作品をまとめて読んでいたせいかもしれない。<br>
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九十九及びマヤの神々?は今巻をもって一段落したが、イプネフェルとツタンカーメンの対立・確執には何ら決着が見られていない以上、この作品は次にSP3を挟んで4thに進む事が容易に予想される。うっかり1巻目を買ってしまったが為に延々続く茨の道。1巻を読んだのが2001年の8月、実に3年近いお付き合い。「萌えろちっく」等と銘打たれたこのシリーズと共に過ごした時間の長さを振り返ると、何故か寒々しい気分になる。面白いんだけどね……。 |
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素光
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