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エドガー@サイプラス
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著者: |
アストロ テラー |
出版社: |
文藝春秋 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
人工知能とE-mailで会話する……という文体なので、「あっ」と言う間に読めてしまう。まるで短編。
<br>
われわれ人類は、フリーソフトウェアという思想によって、ソースコードには人権を認めつつあるが、実行中のプログラムが知性を発揮し始めたとき、そこに人権を認められるだろうか……とまとめていいだろうか。エドガーの人格を認めざるを得なくなるに従って、アリスがどんどん壊れていくというのが、人間以外に人権を認めたくないという葛藤を表現しているようで、妙にリアル。一方、NSAの対応はステレオタイプすぎて面白くないが、本書の背景となる文書が辛うじてそれを相殺しているか。
<br>
エドガーをロボットにするとSFでよくある設定だが、身体を持たず、テキストしか理解できない人工知能という設定にしたことで、ぐっと「ありそうな話」になっている。日常的にインターネット上で生活している身としては、けっこう感情移入できた。 |
関連本棚: |
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羽尻
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ねじの回転 (上) FEBRUARY MOMENT (集英社文庫)
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著者: |
恩田 陸 |
出版社: |
集英社 |
評価: |
★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
解説では本格SFであるかのように書いてあるが、時間旅行ネタにもかかわらず技術的なヨタはいっさい書かず、肝心のタイムパラドックスもなく、よく考えると設定自体が矛盾だらけという、時間SFと呼ぶにはあまりにひねった設定。正直これは、ファンタジーかな、と思う。たぶん「SF」を期待して読むと肩透かしを食らうのではないかな。
<p>
とはいえ、安直な歴史改変モノとは違い、その構成力はやはりたいしたもので、物語を楽しむ点においては十分な出来だと思う。登場人物たちの悲哀に感情移入するもよし、時間の階層構造からメタな思索にふけるもよし(これはちょっとイーガンっぽい楽しみ方かも?)。まぁ、何度も時間を行ったり来たりするので、SF慣れしてない人は途中で付いてこれなくなるかも知れないけど。
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関連本棚: |
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/sho/4150115079
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著者: |
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出版社: |
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評価: |
★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
裏表紙のあらすじを読んで、その着眼点に「これは新しいタイプのファーストコンタクトものになるんじゃないか!?」と期待してしまったわけだが、結論から言最後まで、敵になりきったりなんぞしてくれないのだ。あるのは中途半端に敵の真似事をしてみる素人集団だけ。それすらも物語のごく一部でしかなく、あとは埋め草のごとく、過去の戦闘シーンや、軍内政治との軋轢を描くばかり。話にならん。続編があるそうだけど、翻訳しなくていいよ、こんなの。 |
関連本棚: |
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太陽レンズの彼方へ―マッカンドルー航宙記 (創元SF文庫)
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著者: |
チャールズ シェフィールド |
出版社: |
東京創元社 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
シェフィールドの作品はあんまり好きじゃないんだけど、本シリーズの前作である『マッカンドルー航宙記』だけは例外で、かなり好きだった。その続編とあれば、すべてに優先して読まねばなるまいよ。……と意気込んでみたものの、やはり前作ほどのインパクトはなかったのであった。まぁ、ここのところ、ぶっ飛んだハードSFが続いてたからなぁ。とはいえ、「ハードSFとエンターテイメントって両立するんだ!」という純粋な驚きは、当時と変わっていない。楽しかった。
<p>
解説によれば、シェフィールドはもう他界しているそうだ。ぜんぜん知らなかった。それを知ってから、改めて付録を読むと、ちょっとじーんときた。
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関連本棚: |
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km
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秘密
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ハル (文春文庫)
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著者: |
瀬名 秀明 |
出版社: |
文藝春秋 |
評価: |
★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
読んでいてちょっと悲しくなってしまったのだが、もはやロボットをネタにしてもSFにはならないのだ。ロボットそのものにはもう驚きの要素はなくて、現在の状況から演繹できる技術でしかない。本書は2002年に出た単行本の文庫化であるにも関わらず、ロボットを取り巻く状況を描いた普通小説になってしまっている。それが良いとか悪いとかではないのだが、ちょっと寂しい感じがした。
<p>
瀬名秀明と言えば、デビュー作の『パラサイト・イヴ』を読んで、せっかくハードSF風に進んでいた話が最後はオカルトになってしまってかなりガッカリしたのだが、本書でもその傾向は変わっていない。すごく調査取材をして、細部までしっかり描きこまれているにも関わらず、肝心の主題がスピリチュアルな方向に進んでしまい、拍子抜け。しっかりした土台だけ作ったところで予算が尽きた建物を見ているようだ。ただし、ロボットを介在にしたラブロマンス(?)「亜希への扉」と、ロボットを作る人間の情熱に焦点を当てた「アトムの子」はそういう「逃げ」がなく、収穫だった。
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関連本棚: |
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ハイブリッド―新種 (ハヤカワ文庫SF)
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著者: |
ロバート・J. ソウヤー |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
問: 前作『ヒューマン-人類-』から今までの間に我々が得た重要な知見をひとつあげよ
<br>
答: それは「モヒカン族の発見」です
<p>
いやもう、読み始めてすぐこれに気づいてしまったときは、思わず「あっ」とか声を上げてしまったよ。つまり、このシリーズにおけるネアンデルタールたちは、まんまモヒカン族なんである。徹底した合理精神、問題解決には技術を持ってのぞむその姿勢、どこから見てもモヒカン族だ。なるほど、読んでいてネアンデルタール人社会にどうしようもなく惹かれるわけがわかったよ。
<p>
さらに作者はホモ・サピエンスのムラ人っぷりをわざと強調して描いているので、その対比はさらに明確になっている。典型的なムラ人であるジョック・クリーガーの描写はまさにそれ。結果的に、ネアンデルタール人描写にちっとも新鮮味がなくなってしまった上に、話の流れがたいへん読みやすくなってしまい、読書の面白さが減ってしまったのである。翻訳を待っている間に新しい科学的発見があって、設定自体が台無しになってしまうSFは少なくないが、まさかこっち方面から攻められるとは思いもしなかった。これはもう、otsuneさんに責任とってもらわないと!
<p>
もちろん、小説としての面白さは残るわけだが。前作で明かされた「人類存亡の危機」は、まさかという形で利用され、エピローグとあわせて、なかなか楽しく笑えるオチがつく。後半語られるかなりムチャなフェミニズム思想もそうだが、実はこれ、ソウヤーはギャグ小説として書いてたんじゃないかと勘ぐってしまう。モヒカン族はそのムーブメント自体が「ネタ」なわけで、そう考えると相乗効果を楽しめる余地もあるかもしれない。 |
関連本棚: |
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啓示空間 (ハヤカワ文庫SF)
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著者: |
アレステア レナルズ |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
ライトSFとして読めば、ふつーに面白いと思う。だが、帯にあった「今年度ベスト1のSF」というコピーには同意しかねる。だいたい、『ディアスポラ』の直後にこんなコピーを付けた本を出版するハヤカワは、厚顔というより、誠実さに欠ける。
<p>
解説によれば作者は元科学者なので考証もばっちりということらしいが、その考証に本当っぽさを感じない。SFである以上、書いてあることの大半がウソなのは了解事項なんだから、あとはいかにウソをホントらしく見せるかが作家の腕の見せ所である。元科学者だからハードSFが書けるとは限らない。
<p>
1000ページもあるからか、話の動きがトロい。200ページくらいからやっと物語が始まる。おまけに種明かしは900ページを過ぎてから。もっと圧縮して、500ページくらいにしてくれれば、よくできたスペオペになっていたかも知れないのに。
<p>
ハードSFと呼ぶには骨太さが足らないし、本格SFかといえば重厚感に欠ける。だから「ライトSF」。肩の力を抜いて軽い気持ちで読めば、やや格の落ちるスペオペとして楽しめるだろう。もっとも力を抜こうにも、1000ページを越えるこの厚さでは肩の方が凝ってしまうのだが。 |
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ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)
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著者: |
グレッグ・イーガン |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
読んでる最中、ずーっと「試されてる」という感じが抜けず。何を試されてるかというと、理系度というか、「おまえ、本当に物理専攻だったんか」と問われているような。すみません、数学は落ちこぼれでした(大汗)。
<br>
解説で本書で一番難解なのは出だしの部分と書かれているが、大嘘である。日ごろからコンピュータに接していれば、理屈はわからなくてもイメージするのはチョロいっしょ? この、ソフトウェアが自我を確立するまでの過程の事細かな描写で、まずグイっと引き込まれる(か、人によっては投げ出すだろう)。が、そのあとに延々と続く、5次元とか6次元とか12次元とか無限次元とかの幾何学を文字だけで語るにおいては、もう、どうにもついていけん。マニアックすぎる。傑作中篇だった「ワンの絨毯」とか、ワームホールとたんぱく質の類似性とか、トランスミューターの遺物とか、個々のアイデアはメチャメチャ面白いんだけど。
<br>
そう、この本、小説としての体をなしてないんじゃないか。SFらしい壮大なストーリーはあるんだけど(終盤の猛烈なスピード感はすごい!)、イーガンはそこにはぜんぜん重きを置いていないような気がする。各章は基本的に独立していて、それぞれが長編一本分のアイデアをぶち込んだイーガンの実験室だ。読者は章が変わるたびにまったく違う舞台装置に放り込まれる。小説を読んでいるというよりは、ゲームをプレイしているという感覚が近い。
<br>
というわけで、「SFやっててよかったよ〜」と心底思えるヨロコビはある。そういう意味では五つ星。でも、小説としてどうよという疑問はぬぐいきれないし、当然ながら、こんなに読み手を選ぶ本を、人様にオススメできるわけがない。わかったふりをして絶賛する気には(まだ)なれない。自分の責任においてのみ、手に取るべき本である。 |
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鏡像の敵 (短篇集 ハヤカワ文庫 JA (810))
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著者: |
神林 長平 |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
SFマガジン2005年10月号に神林長平ロングインタビューが載っていたので、真っ先に読んだりしたわけだが。インタビューのタイトルを見て「神林をセカイ系でくくるとは失礼な話だ」と思ったものの、本文中では「神林作品はセカイ系の進化形」みたいな言い方をされていて、それならそんなに悪くないかなと思い直した。どうにも昨今のセカイ系小説を面白く感じないのは、それよりずっと先を行っている神林作品を、彼のデビュー当時から読んでいる身としては当然なわけやね(とかいう)。
<br>
で、そんな神林長平の初期短編集なわけで、そもそも一部を除き全部既読のはずなので、知ってる話ばかりだったらどうしよう……と不安になったが、安心したまえ、ぜんぜん覚えてなかった。まぁ、そんなもんだろう。で、「昔の神林」は「セカイ系」じゃないのか? という心配は杞憂におわり、やっぱり一味もふた味も違っていたわけだが。
<br>
最近の作品に比べるとまだ冗長さがあって、殺伐感が少ないなぁ、という些細な不満がある程度。ガジェットや舞台設定にも、最近の作品にも登場するものが多くて、確かな連続性を感じる。紙数の多くを背景説明に費やしている「ここにいるよ」と、ちょっと作品世界に深みが足らない「鏡像の敵」以外は、どれも神林臭くて面白かった。
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バースト・ゾーン―爆裂地区
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著者: |
吉村 萬壱 |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
たっぷり人が死んで、しかもグロい描写ばかりなのでとても万人にはオススメできないが、おれはそういうのが割とへっちゃらなので、かなり楽しめた。
<br>
最初、テロリストの愛称(?)として「テロリン」はねぇだろ、と思ったが、これも狙ってのことなのかもしれない。悪意に満ちた世界を戯画化する装置としてうまく働いている。ストーリーも設定も無茶苦茶だけど(もちろんこれも計算ずくだろう)、勢いでぐいぐい読ませる。特に大陸に舞台を移してからは、謎解きと新たな謎が入れ替わり立ち代り提示されて飽きさせない。
<br>
そして、まったく救いのないエンディング。不愉快極まりないけど、読書体験としては楽しいという、なんとも言えない後味が残るのであった。ホントに芥川賞作家なの、この人? |
関連本棚: |
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kzk2007
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僕たちの終末
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著者: |
機本 伸司 |
出版社: |
角川春樹事務所 |
評価: |
★★ |
カテゴリ: |
SF
|
コメント: |
恒星間宇宙船を作る話だと聞いたので、『第六大陸』みたいなエンジニアリングSFかも(!)と期待してしまったわけだが、正直、期待はずれもいいところであった。
<br>
アイデアは悪くないと思う。絶滅を目前にした人類の地球脱出のためなら、工期や費用がちょっとくらい無茶な設定でも通るだろうし。ところが、実際に作るところはいっさい出てこないのである。前半は丸々、どんな宇宙船を作ろうかという思考実験だけ。ネジ一本締めない。で、ページをめくると、もう完成間近。設計だけで船ができると思ってるとしたら、作者はエンジニアリングをなめすぎだ。おかげでリアリティは完全に失われた。
<br>
キャラクタの造形もお粗末。特に女性の描写が、なんというか、実に童貞臭い。あまりに類型的なので、思い浮かんだのはギャルゲーの設定資料だった。主要な3人の女性の設定はたぶん「ツンデレ」「ロリ」「お姉さま」といったところ。あちこちに女性差別っぽい描写も多く、女性の扱いに慣れていない感じだ。
<br>
主人公も、技術力もカリスマ性もなく、あるのは夢と熱意だけという設定なのに、ちっともその「熱」が伝わってこない。他にも、明日にも人類絶滅かという時代なのに、登場人物たちには緊迫感も悲壮感もないし、ロボットみたいで人間らしい息遣いが皆無。どうにも描写力が足らないのである。これでは感情移入のしようもない。
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関連本棚: |
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誰ヵの本棚-読んでみたいものリスト
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4000億の星の群れ (ハヤカワ文庫SF)
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著者: |
ポール・J. マコーリイ |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
いかにもB級スペオペっぽい表紙だったのでイヤな予感がしたけど、読むものがないのだからしょうがない……と買ってみたら、中身はけっこうハードで本格的なSFだった。もうちょっと雰囲気に合った表紙にしてくんないかなぁ、ハヤカワさん。
<br>
本格SFには違いないが、かなり地味。おまけに表紙と違って貧乳の主人公がかなり抑制の効いた……というか抑圧的な性格なので、なかなか感情移入もできない。中盤、シェイクスピアのプリントアウトを手渡されるシーンでは、「おまえ、そこは泣くところだろ!」と思わず主人公にツッコミを入れてしまったほどである。
<br>
じゃあストーリーに没入できるかというと、項を追うごとに謎が解き明かされるわけでもなく、深まるわけでもなく(結末の数10ページで一気に解決するタイプ)。けっきょく面白いのは、異星の大地をひたすら歩く、サバイバルのところ。冒険小説として読めばなかなか面白い……かも。
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ヒューマン -人類- (ハヤカワ文庫 SF (1520))
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著者: |
ロバート・J・ソウヤー |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
|
コメント: |
三部作の二作目。偶発的なファーストコンタクトだった前作に対し、今作は少し計画的になり、ますますコンタクトSFの様相を呈してくる。まぁ、そのつもりで読めばいいのだが。
<br>
ベトナム戦没者記念碑前のシーンはなかなか感動的だし、それに続く議論は、迫力もあり納得もいく。ネアンデルタールの世界観は、理性的で論理的。おれの趣味に合うなぁ。あっちの世界に住みたいかと聞かれれば、ちょっと躊躇するけど。樹の家には住んでみたいが。
<br>
次作に続く謎(というか大問題)や、波乱の予感を含ませて終わるので、できれば次作が出てから読みたかったところ。早く出ないかな〜。
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星空の二人 (ハヤカワ文庫JA)
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著者: |
谷 甲州 |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★ |
カテゴリ: |
SF
|
コメント: |
谷甲州らしくない表紙なので不安があったが、的中した感じ。どうにも、80年代に粗製乱造された悪しき日本SFの
においがプンプンする。
<br>
ワンアイデアのストーリーに、無理やりお手軽でくさい結末をつけただけの「谷甲州もどき」やら、バカになりき
れていないバカSFもどきやら、どうにも楽しめない話ばかり。読者が谷甲州に期待している重厚感は、かけらもな
い。世紀の変わり目にこんなレベルの短編書いてたらあかんだろー。 |
関連本棚: |
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反対進化 (創元SF文庫)
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著者: |
エドモンド・ハミルトン |
出版社: |
東京創元社 |
評価: |
★★★ |
カテゴリ: |
SF
|
コメント: |
ここまで古い話なら、どんなに荒唐無稽なことが書かれていても笑って許せるだろう……と思って読んでみたが、そうでもなかった。というか、冒頭の「アンタレスの星のもとに」があまりにアレなので、かなり根性入れないと読み進められなかった。
<br>
やっぱ古臭すぎるよなぁ。さすがにこれらを楽しむには、よほど広い心の待ち主(もしくはよほどのマニア)じゃないとダメじゃないの。なお、あまり古さを感じさせない「異境の大地」や「プロ」は楽しめた。SF小説に、時代を超える普遍性を持たせるのは難しいやね。 |
関連本棚: |
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ホミニッド-原人 (ハヤカワ文庫SF)
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著者: |
ロバート・J. ソウヤー |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
|
コメント: |
どう考えてもイロモノとしか思えない設定とあらすじだから、あんまり期待してなかったんだけど、なんだよ、面
白いじゃねーの。ソウヤーはうまいなぁ。
<br>
並行宇宙ものは、通信しかできないとか、一方通行だとか、いろいろ制限がついて、その制限が面白さのポイント
になることが多いんだけど、本作品ではいっさい制限なし。その代わり、世界のこっちと向こうでの文化の違いが
非常に大きい……ってつまり、並行世界ものじゃなくてファーストコンタクトものとして読めばいいってことか。
なんだ、そうか。
<br>
なんにせよ、続編に期待。 |
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麦撃機の飛ぶ空
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著者: |
神林長平 |
出版社: |
ヒヨコ舎 |
評価: |
★★★ |
カテゴリ: |
SF
|
コメント: |
神林長平の小説というのは、一種の「冗長さ」が楽しいわけで、それがショートショートになってしまうと楽しさ半減というか。やっぱ、ちょっと不足感が否めないわな。挿絵がまた、妙に星新一作品を髣髴とさせてしまうタッチなのもいけないかも。ショートショートの第一人者がいた国に育ってしまったというのは、ある意味不幸だったりして。<br>
もちろん、いい作品もある。テンポのいい『エデン』は皮肉がきいていてGood。『麦撃』も神林らしい味がある。
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時間のかかる彫刻 (創元SF文庫)
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著者: |
シオドア・スタージョン |
出版社: |
東京創元社 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
|
コメント: |
おれがもっともSFを読みまくっていたのは、スタージョンはもちろんサンリオSFも健在なりし頃なので、とうぜん本書を読む機会があったはず。実際は通り過ぎてしまったわけだが、それで良かったかも。当時のおれにこれを与えても、あんまりありがたがりそうにない。<br>
そんな、大人の小説。歳を食ってから読んだ方が、味がわかる。
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マインドスター・ライジング〈上〉 (創元SF文庫)
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著者: |
ピーター・F. ハミルトン |
出版社: |
東京創元社 |
評価: |
★★ |
カテゴリ: |
SF
|
コメント: |
鶴田謙二の表紙にひかれて買ってしまったが、謎解き要素があるにもかかわらず、あまりにストレートで寄り道やどんでん返しのないストーリーに唖然。そのくせ妙に描写が細かくて「そんなに書き込まなくてもええやん」と思うくらいくどい。解説によればこれが作者の味らしいが。もっとさくっと読めたら面白かったかも知れないが、エンタテイメントに徹しきれてないところが×。 |
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戦乱の大地〈上〉―知性化の嵐(2) (ハヤカワ文庫SF)
|
著者: |
デイヴィッド ブリン |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
|
コメント: |
長いっす!!(お約束)
<br>
もうね、最初の登場人物紹介と用語集を見ただけで、本を閉じてBookOffに売りに行こうかと思ったよ。前作から引き続きやたらと登場人物が多い上に、ストリーカーまだ登場するので、もうてんやわんやだ。
<br>
それでも、がんばって読み進めれば見事なエンターテイメントだし、さすがはブリン。特に終盤、六種族の反撃が始まってからは胸のすくようなスピード感。でも終わりは、前作と違って完全に「次作へ続く」状態。次が出るまで読まずに取っておいた方がいいかも。 |
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|
M.G.H.―楽園の鏡像
|
著者: |
三雲 岳斗 |
出版社: |
徳間書店 |
評価: |
★ |
カテゴリ: |
SF
|
コメント: |
出だしから数10ページは、ほぼ時代背景の説明のためにあるようなシーンが続く。地の文だけでなく、登場人物のセリフも妙に説明調。おまけに出てくる人物は、不必要なまでに画数の多い変わった名前の持ち主ばかり。こ、これは、絶滅したと思っていた古き悪しき日本SFですか!?
<br>
最近の日本人SF作家は小説技法も向上しているので、こういう80年代風の作品は少なくなったと思っていたんだが、まだまだあるんだなぁ。「日本SF新人賞受賞作」ということでちょっと期待してたんだけど、残念。もっと現代的なのが読みたかった。それとも、主人公の2人のじゃれ合いが「現代的」なんだろうか……?
<br>
というわけで、SFとしてもミステリとしても、中途半端で目新しさはない。つーか、「新人」のくせに古くさすぎ。 |
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レスレクティオ
|
著者: |
平谷 美樹 |
出版社: |
角川春樹事務所 |
評価: |
★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
3人の地球人が、わざわざ別の宇宙まで出かけていって、100億年の年月と銀河系をまたにかけて神を探す話……と書くとずいぶんスケールが大きそうな感じがするんだが、どうも主人公が地球人のせいか、そういう感じがしない。舞台に似合った壮大さに欠ける。前作の『エリ・エリ』を読んでいないせい? 違うよな。
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似たようなテーマの最高峰として半村良の『妖星伝』が思い浮かぶんだが(神を探す話ではないけど)、あれはじっくりページを使って「生のつらさ・不条理さ」を綴っているので、話にすごく深みがある。本書では後半残りわずかになってから畳みかけるようにそういう記述が続くだけなので、あっさりしすぎ。謎解きもわずかだし、それもあんまり驚きはない。こんな神なら子供でも描ける。
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ちなみに結末は、新井素子の「ネプチューン」。 |
関連本棚: |
sho
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ウロボロスの波動 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)
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著者: |
林 譲治 |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
工学系ハードSF。セリフがいかにも日本のハードSFって感じでこなれていないとか、ガーディアンが目だってばっかりやんかとか、文句のいいたいところもあるが、けっこう楽しめた。
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ただ、AADDのような形態の組織は現実に存在しうるかどうか疑問だなぁ……と読みながら思っていたんだが、よく考えてみるとGoogleって会社はこれに近いかもしれない。 |
関連本棚: |
もつくん
sho
【ひろ】図書館で借りた本
km
秘密
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/sho/4152084863
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著者: |
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出版社: |
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評価: |
★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
クライトンのテクノ・スリラーに求められているのはエンターテイメントであって、別に警句みたいなものは求めてないわけよ。だから、こういういかにもな前書きを書かれると鼻白んでしまうな。
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とは言え、本編は例によってハリウッドがよだれを流して欲しがりそうなよくできた娯楽小説である。ホント、砂漠に作られた白いブロック状の研究所とか、光り輝く化学プラントとか、ナノマシンの黒い雲、地下洞窟の巣……と言った、(ハリウッド的に)「絵になる」描写にはこと欠かない。
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プロットは、『ジュラシックパーク』とまったく同じ……倫理観の欠如した企業の作った先端テクノロジーの産物が制御を失って逃げ出し、対応が遅れて人が何人か死んで、主人公の勇敢な行動でいちおうの決着をみるが、完全な解決にはなっていない……なので、安心して(?)楽しめる。
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褒めてんだかけなしてんだか、よくわからんな(笑)。いや、面白かったよ、うん。 |
関連本棚: |
tanaka
mie
sho
しんじの本棚(2002年9月〜2003年)
lookwest
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グリーン・マーズ〈上〉 (創元SF文庫)
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著者: |
キム・スタンリー・ロビンスン |
出版社: |
東京創元社 |
評価: |
★★★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
革命の話なので政治的な描写が多いんだが、注目はサイエンス担当キャラのサックスである。前半はのんきな科学者なんだが、敵方にさらわれてマッドサイエンティストに改造されて(違)からが面白い。革命側がピンチになると「こんなこともあろうかと」と言いながら次々といかがわしい道具や兵器を取り出すのである。まさに王道。これぞSFの醍醐味よ。 |
関連本棚: |
sho
hide-t
km
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小指の先の天使
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著者: |
神林 長平 |
出版社: |
早川書房 |
評価: |
★★★★ |
カテゴリ: |
SF
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コメント: |
仮想世界と現実世界のかかわりを、どちらかというと現実世界の方から描いた作品が多くて、例によって客観的に仮想世界を扱っていく。でも、最後の作品だけがちょっと舞台が違っていてめんくらう。なんとなく結論じみた話にはなっているんだけど、でもあまりに設定が違いすぎているので、本当に連続しているのかどうかよくわからない。うーん……。 |
関連本棚: |
Toi
sho
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jd
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